映画専門サイトのSNSで話題作よりも「いいね!」を10倍以上獲得したお正月映画異色作!

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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ワイルド わたしの中の獣』

ファインフィルムズ配給/12月24日より新宿シネマカリテほかで公開
監督/ニコレッテ・クレビッツ
出演/リリト・シュタンゲンベルクほか

お正月の洋画は、世界的人気シリーズの姉妹篇やらが話題になっているが、「仰々しいCG大作はもう飽きた」、「もともと食指が動かない」という人にこの“超・異色作”をお勧めしたい。何とオオカミ愛に目覚める若い女性の行為を描くという奇妙な内容にもかかわらず、というより、だからこそか。ミニ・シアター系公開だが、映画専門サイト公式ツイッターで、トム・クルーズやレネー・ゼルウィガーの新作の10倍以上の“リツイート”や“いいね!”を獲得したそうな。

職場と自宅の往復の無気質な生活を送る若い女性アニアが、自宅前の小さな森で自分を見つめるオオカミを目撃する。体に何かの電流が走ったのか、彼女はオオカミ愛に目覚め、“同棲”するためにそのオオカミに麻酔を使って捕獲、自宅マンションに“拉致監禁”してしまうのだからビックリ。

何しろ、野生動物。最初は暴れる相手に、彼女は命の危険さえも感じる。やがて、心が通じたのか、一人と一匹は恋人同士のように愛し始める…とあらすじをちょっと記しただけで、頭がクラクラしそう。

監督は女優出身の40代の女性で、「日常から解き放たれたいという気持ちを映画にした」そうだ。

何を隠そうボクは、幼少のころディズニーの『狼王ロボ』(1962年)を観て以来“オオカミ映画”は大好きで、他にも『ネバー・クライ・ウルフ』(1983年)、『神なるオオカミ』(2015年)など枚挙にいとまがない。そんなボクでも“こんなオオカミ映画観たことない”と唸るほど。

確かに“獣姦映画”というのはある。本作にもオオカミとの愛の交歓はあるがそんなに露骨じゃないし、むしろ、野生動物を室内で飼育することの大変さが描かれる。ごみ屋敷と化す室内、近隣の人々の疑惑の目などなどだ。

この名もなきオオカミがけっこうイケメン(?)だったりする。ヒロインだってけっこう美人。これが本当の美女と野獣か?

オオカミの持つ自由さに憧れたのか、あるいは人間のオスにはない何かを感じたのか。この世にもユニークなラブ・シーンは異様を超えて、崇高なものに映るから不思議だ。

若い娘と野生のオオカミの相性は抜群。だって、“娘”と“狼”って漢字で書くと似ているし。オオカミは“良い獣”って書くしね。

さて、この“異形の愛”は成就するのか? 後半の展開もスリリング! ボクはこの終わり方に納得したが、ぜひ目撃してほしい。

監督、女優の名前からも察せられるように、地味なドイツ映画だが、“地味にスゴい!”とはこのことか。女性支持率は相当高そう。