各情報サイトや通販サイトのレビューや口コミには嘘や過大な広告のようなもの、さらにはネタのような投稿まで、さまざまな真実ではない情報が氾濫している。なぜこのような状態になっているのだろうか?
ネタで埋め尽くされる大手ネット通販サイトのレビュー欄
大手通販サイトでは、販売されている商品に対してユーザーがレビューを書き込むことができる。しかし、このレビューは“レビュー職人”と呼ばれるネタを投稿する専門の人も存在するくらい、人を笑わせるためだけのレビューが多く存在する。
例えば“高音質モデル”を掲げるメモリーカード商品のレビュー。レビュー職人は該当する商品に対応する機器を持っておらず、使用することができないにもかかわらず《この商品の配送時のチャイムの音までもが澄んだ高音域に聴こえた》と商品を高く評価する。もちろん、普通に考えればありえない、明らかにおふざけとわかるレビューだ。しかし、このレビューにはなんと4000人以上の人が《参考になった》と評価をしている。
購入を検討しているユーザーにとって参考になるわけもなく、どう考えても面白いからという理由でボタンが押されているが、レビュー職人の書いたこのレビューは、該当する商品のレビュー欄でトップに表示されている。このようなネタレビューが、大手通販サイトには多く確認されている。
このレビュー職人には悪意はなく、ただただ面白さを求めているだけだが、レビュー参考にして購入を真剣に検討ししようとする人からすると、迷惑この上ないものである。
混在する低評価と高評価
通販サイトには限らず、口コミを扱うサイトには低い評価と高い評価が混在している。色々な感じ方をする人がいるので当たり前の話なのだが、全く真逆のことが書かれていたりすると、どっちが正しいのだろうと悩む方も多いと思う。
なぜ、このようなことが起こってしまうのか? その原因のひとつに、口コミを依頼する人や会社の存在が挙げられる。
依頼されたことを書くのだから事実とは異なることもあるし、依頼者にとって有益な情報が記載されるように仕向けられている。その依頼内容によって、評価が“作られる”となると、レビューは信用性を失ってしまう。
もちろん、通販サイトには品質にバラつきのある商品も多数出品されているので、作られたレビューばかりとは限らないが…。
依頼によって「作られる」口コミ
依頼される口コミとは一体どのようなものなのだろうか? 想像がつかない人も多くいると思うので簡単に紹介しよう。
例えば、とある飲食店を経営しているが、あまりお客さんの来ない店があるとしよう。そんな時店主が客に、店内でネットへの口コミの投稿を促し、“書き込んでくれたらサービスをする”といったことをしている店がある。これ自体は、いい口コミをつけてくれ」などと強要しない限りはよく見る光景だ。しかし、これがエスカレートして、来店すらしていない人に金銭を支払い、口コミを依頼してしまうこともできる。
このような口コミ依頼を扱う場となっているものの一つが『クラウドソーシング』と呼ばれるサービスだ。ネット上で口コミ執筆依頼を載せ、「原稿料」と引き換えに口コミ投稿を誰かにしてもらうというものだが、これを使えば簡単に口コミを作ることができる。
逆に、ライバル店のレビューに悪い評価を付けるというものもある。悪質であれば、業務妨害などで処罰されてしまうリスクの高い手法だ。
口コミ依頼の相場とは!?
一体どの位のコストで、口コミを依頼することができるのだろうか。安いものであれば評価と2~30文字程度の口コミで5円という格安でできてしまうのである。相場としては、100文字30円程度、400文字で100円程度でタイトルは文字数に含まれないというのが大体の相場である。
例えば5円の口コミを15件程度と100円の口コミを3件、30円を4件購入するとすると、500円もあればそれなりの人気飲食店に見える評判を手に入れることができてしまう。
大手サービスでは禁止されているも…
もちろん、クラウドソーシングサービスを展開している運営側も手をこまねいて見ているわけではない。
規約などで“ステルスマーケティング”に該当する業務委託を禁止し、いい評判や悪い評判を雇用者が指定して書かせるような依頼を禁止しているサービスも多い。大規模サービスであれば、まず禁止している。しかし、小さいサイトや個人請負におけるこのような仕事依頼はいまだに存在している。そのため、現在でも多くの偽レビューや偽口コミが散見されるのである。
ネタにしろ業者の仕業にしろ、消費者の公正な意思決定を妨げる情報の氾濫は迷惑な話であるが、なかなか淘汰されないというのが現状である。
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