トランプ大統領の誕生で世界的に広がる「自国ファースト」思想

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欧州の極右派政治家は、ドナルド・トランプ新アメリカ大統領の就任を、あたかも自身のことのように歓迎している。その面々には、フランスの極右政党『国民戦線』のマリーヌ・ル・ペン党首、オランダの同『自由党』のヘルト・ウィルダース党首、英国の右派政党『独立党』の欧州議会議員ナイジェル・ファラージ、オーストリアの極右政党『自由党』のシュトラーヒェ党首らが挙げられる。

欧州の極右派政治家とトランプ大統領との共通点は“自国ファースト”だ。例えば、オーストリアの自由党も、オーストリア・ファーストを訴えている。トランプもオーストリア自由党も、EUとアメリカのあいだの包括的貿易投資協定(TTIP)に反対し、難民の受け入れに消極的だ。イスラム教徒を含む外国人への排斥傾向が強い。

トランプがヒラリー・クリントンを破り、大統領選挙で勝利したことで、欧州の極右派政治家たちは、ようやく自分たちの考えがグローバルスタンダードになると意気が上がっていても不思議ではない。だが、一筋縄ではいかないようである。

「昨年12月4日に行われたオーストリア大統領選挙で、野党『緑の党』元党首のアレキサンダー・バン・デ・ベレン氏と、シュトラーヒェ党首率いる『自由党』議員で国民議会第3議長を務めるノルベルト・ホーファー氏の二人が戦い、リベラルを標榜するベレン元党首が勝ったのです。同国公共放送『ORF』が報じたところでは、ベレンの得票率は53%で、ホーファーにわずか7ポイント差の薄氷の勝利でした」(政治アナリスト)

ベレン氏は、「トランプの勝利は尊重するが、アメリカ大統領選の批判と中傷合戦は、到底受け入れられない。わが国が欧州で先駆けて、極右派政党出身の大統領を選出するといった不名誉なことが絶対生じてはならない」と訴え、トランプ勝利の勢いに乗って、極右が当選しないように国民に警告したのだ。

一方のホーファー氏は、トランプをこき下ろすベレンを批判し、「ベレンはわが国とアメリカとの関係を険悪化させるつもりだ」と応戦した。

その結果、オーストリア国民は前者を選んだわけだが、果たして世界的な“ファースト主義”の思想はどこまで広がりを見せるだろうか。

 

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