金正男暗殺の背景にあった米国と中国による「金正恩排除計画」

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北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏が殺害された事件の背景には、“核のドミノ現象”を避けたい思惑で一致しているアメリカと中国が水面下で進めていた、金正恩暗殺計画の頓挫があるのではないか。

「アメリカ軍は昨年、要人を暗殺する“斬首作戦”を実行してきた特殊部隊を韓国入りさせ、すでにスタンバイは完了したとされます。一方の中国も、ここにきて人民解放軍の特殊部隊を中朝国境付近に備えたと言われていました。中国は、度重ねて強行する北朝鮮の核やミサイルの実験に堪忍袋の緒が切れており、直接手を下さなくとも朝鮮人民軍に働き掛けてクーデターを起こさせる可能性は、ゼロではないでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

このまま正恩を放置すれば、北朝鮮の核開発はエスカレートし、いずれ手が付けられなくなるのは目に見えている。その前に中国が“排除”に動いても不思議はないと思われたのだ。

「アメリカと中国が“戦略的忍耐”を強いられているあいだに、北朝鮮は核の小型化や潜水艦発射弾道弾の発射実験まで行い、さらには大陸間弾道弾のエンジン燃焼実験にも成功したと吹聴したことで、北朝鮮の大量破壊兵器がアメリカ本土に到達する日が差し迫っています。こうした現状で、朝鮮人民軍に宮廷クーデターを働き掛けている時間はなく、いまこそ最も有効な手段として考えられたのが金正恩の暗殺なのです」(軍事アナリスト)

ところが、昨年末に行われたアメリカ大統領選挙により新たなリーダーが誕生した。正恩暗殺のような大きな外交政策を決定できる余地がなくなった。

「アメリカと中国は共に、正恩の暗殺で国際社会から批判される危険性が非常に小さい。逆に世界から称賛を受ける可能性すらあります。むしろ、中国には2つの面で好都合なのです。アメリカ特殊部隊が暗殺を決行した場合、朝鮮半島の将来に対する主導権はアメリカと韓国の両国が握りますが、中国側がアメリカより先んじた場合には、朝鮮半島の将来に対して強い発言権を行使できる。中国が“正恩暗殺”というカードを切れば、アメリカはその後の朝鮮半島の統治について、中国主導の路線を追従せざるを得なくなります。そうなれば、中国は金正日総書記の長男であった金正男氏の政権を擁立し、北京寄りの緩衝国家を構築すると目されていたわけです」(前出・ウオッチャー)

かくして、北朝鮮がまさかの先制攻撃に出て、“その可能性”を毒で制圧してしまったのである。

こうなった以上、アメリカと中国は果たしてどう動くのか。正恩がパンドラの箱を開けてしまったことだけは間違いない。

 

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