ひな壇よりもずっと大切なものが描かれた玩具

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル5【ひな壇飾りの駄玩具】~

もうすぐ、女の子が子供のころに一番待ち遠しかった日…『桃の節句』です。

家に立派なひな壇があって、お母さんがひな壇にお人形を飾るのをワクワクしながら手伝ったという人は、田舎の旧家出身の人くらいなものではないでしょうか?

少なくとも都会で育った私の周りには、そのような家庭はひとつもありませんでした。

大勢の女の子がひな壇飾りを楽しめないのは非常に残念なことです。しかし、人間には“想像力”があります。

江戸時代には、近所にあった塚を富士山に見立て、そこに登れば富士山と同じ御利益が得られると考えたように、古くから日本人は想像力を駆使して日常生活を楽しんできました。

まだ貧しかった経済成長途中の昭和時代には、写真のようなひな壇飾りの絵が描かれただけの粗末な駄玩具が1枚5円やそこらで売られていました。

お家にひな壇飾りがない女の子はこれを壁にペタッと貼って眺めるだけで楽しんでいたのでしょう。目の前に木はなくとも、想像すれば心に花は咲くのです。

こういったひな壇の駄玩具にはいろいろな図柄がありましたが、写真のものが素晴らしいのは、おじいちゃん、おばあちゃんが大フィーチャーされているところです。

家からひな飾りがなくなったそもそもの理由は、祖父母のいる田舎から離れ、都会で暮らす“核家族化”にあります。ひな壇飾りと祖父母はセットだからこそ素晴らしいのかもしれません。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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