気分はもう戦争…受験戦士のコクピット!

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル10【システム学習デスク】~

合格発表の季節。テレビで合格者の番号が貼り出された掲示板の前の様子が報道されるのを見るたび、深夜放送を聞きながら眠い目をこすり受験勉強をした日々を思い出します。

いまでは学歴信仰もだいぶ崩れてきましたが、高度経済成長期には“受験戦争”という言葉も誕生し、「子供を一流大学へ進学させるのは親の責務」とばかりに、子供の受験に家族ぐるみで血道をあげる人々が大量発生しました。そんな教育ブームの加熱化と共に、文具など関連産業はここぞとばかり高価な新製品を投入。その最も象徴的なものが『システム学習デスク』です。

1970年に配布されたイトーキジュニアデスクのカタログ。表紙の少年は『ケンちゃんシリーズ』でおなじみの宮脇康之氏(現・宮脇健)

それまでの木製のシンプルな机と打って変わって、目もくらむような豪華仕様です。小学生のときに私が使っていた、イトーキのカタログ(1970年発行)を見てみると、次のような仕様になっています。

  • 簡単に高さが調節できる
  • 施錠できる引出し
  • 百科事典を並べても余裕の耐荷重80kgの本棚
  • 直射光をカットするセード付き蛍光灯
  • 600Wまで使えるコンセント
  • チクタク音がしない電気時計
  • 温度計・湿度計
  • スライドパネル

まさにいたれりつくせりの装備となっています。いまでいうと、ガジェットをいっぱい搭載したスマホに近い感覚かもしれません。

専用のロッカーやハンガーまで発売され、子供部屋は要塞化していった

もちろん、その分お値段も破格でしたが、普段おもちゃも買ってくれない親がポンと買ってくれたのだからブームというものは恐ろしいものです(笑)。

この机がわが家にやってきたときの感動は、いまも忘れられません。初めて座ったときは、戦闘機のパイロットにでもなったような気分でした。まぁ、いくらいい机を買ってもらっても、プラモデルばかり作っていたので親の目論見は見事外れたわけですが…。

このようにわが家では受験戦争の戦費をどんどん拡大していったわけですが、結局もうかったのはメーカーだけ。軍需拡大に熱心などこかの国も同じようなことにならなければよいのですが。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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