「トランプは賢い政治家」だと持ち上げていた北朝鮮の危機

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昨年5月、北朝鮮のメディアは当時のトランプ大統領候補を強烈に“支持”していた。彼を「賢い政治家」と呼び、北朝鮮にとって有益な人物だと礼賛の嵐だった。

「当時の北朝鮮の対外宣伝ウェブサイト『朝鮮の今日』は論説で、トランプを《長期的な視点を持っている》と評していました。この論説を執筆したのは、朝鮮系中国人から北朝鮮に帰化したハン・ヨンムクなる人物で、そのなかでトランプの米軍に関する政策が、“ヤンキー・ゴー・ホーム”という北朝鮮の標語を現実のものにすると、述べていたのです。当時のトランプの『金正恩党委員長と会う用意がある』、『日韓は駐留米軍の費用を全額負担すべきだ、そうでなければ米軍の撤収も覚悟すべきだ』などの恫喝寸前の演説を受けてのもので、北朝鮮が長年求めてきたアメリカ軍の朝鮮半島撤収が可能になるとの、希望的観測を掲げていました。ちなみに『標語が現実になる日は、朝鮮半島統一の日だ』とまで絶賛していました」(北朝鮮ウオッチャー)

当時の日本は、トランプ大統領に対して、そのまんま東や横山ノックなど、ポピュリズムという嵐によって当選するだけの、その可能性の低い政治家としか見ていなかった。それに比べると、北朝鮮には“先見の明”はあったようだが、現実にアメリカ大統領となったいまは完全なアゲインストな姿勢に変わった。

 

北朝鮮をテロ支援国家に再指定か

トランプ大統領は“金正男暗殺事件”は「許されない行為だ」と批判し、口からはもはや金正恩委員長との首脳会談に関する言葉は出てこなくなった。そればかりか、アメリカ政府は北朝鮮に対して強い姿勢に出ようとしている。

「トランプ政権は、3月初めに開催予定の北挑戦との非公式協議に参加する高官(北挑戦外務省の崔善姫北米局長)らへの旅券発給を拒否し、北朝鮮との対話の窓を閉じたばかりです。アメリカ議会を中心に、北朝鮮をテロ支援国家に再指定の動きが見られます。アメリカ政府は大韓航空機爆破事件(1987年)の翌年1月に、北朝鮮をテロ支援国家に指定していますが、2008年10月に北朝鮮が核検証を受け入れたことから、解除しています。それが再指定されれば、交渉のテーブルは完全に正恩の前から消えることになります」(同・ウオッチャー)

元首による兄殺しなどをしていては、どこの国家からも容認されるはずはないのだ。

 

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