WBC今大会最高の熱戦を制した侍ジャパンの勝因とは

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2017ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンドが始まり、プールBからプールEへ勝ち進んだ野球日本代表『侍ジャパン』は、3月12日にオランダと対戦し、6対8で勝利を収めた。

試合は十一回までの延長戦になり、午後7時8分に始まった試合は4時間46分にも及んだ。試合が終わったのは日付が変わる寸前だった。

5対5の同点で迎えた五回表。安打で出塁した坂本勇人を、今大会のラッキーボーイ的な存在になりつつある小林誠司が中前打で生還させ、日本が勝ち越しに成功する。シーズン中は打率が低い小林が打つと、侍ジャパンのベンチは異常な盛り上がりを見せる。

「勝ち越した直後の五回裏からは、3イニング連続で走者を背負いながらも、無失点で抑えていました。この重圧は投手はもちろん、守っている野手だけではなく、ベンチにいる全員を苦しめていました」(裏方スタッフ)

権藤博投手コーチと、守備走塁面を担当する仁志敏久コーチは、試合前に同じことを語っていた。

「守備でリズムを作って、攻撃にも…」

“守備でリズムを作る”を具現したのは平野佳寿だった。1次ラウンドでも好投し、抑えに起用する話も出ていた平野を、2番手で四回から登板させた。そしてこの回に、初めてオランダ打線を三者凡退に抑え、このリズムが次の回の小林の適時打を呼んだとベンチは解釈していた。

しかし、MLBの各チームのレギュラー選手を打線に多く揃えてきたオランダは、そう簡単には勝たせてはくれなかった。

小林の適時打が出た五回以降に“試練”が始まる。

 

過去のWBCでも則本と同じ不調に陥った投手がいた

3番手で五回から登板した千賀滉大は、この回の先頭打者のシモンズに安打を許し、続くプロファーにも二塁打を浴び、無死二三塁の窮地に立たされた。

「2ボール2ストライクのあとに投じたフォークボールを、プロファーに見極められました。あのフォークがボールカウントになった瞬間、千賀が精神的に追い込まれました」(前出・スタッフ)

二塁打を浴びたあとマウンドに権藤コーチが向かう。すると、千賀は開き直ったのか、ボガーツ、バレンティンを連続三振に仕留めて見せた。そして、続くグリゴリアスをフォークで一ゴロに仕留めて、このピンチを切り抜けた。

六回裏も千賀は続投し、七番打者のスミスに二塁打を許すが、無失点でこの回を投げきった。

七回と八回は松井裕樹、秋吉亮、、宮西尚生、増井浩俊を小刻みに継投し、オランダに得点は許さない。満塁を許した八回途中には、権藤コーチがいったんベンチを離れ、自らブルペンに走るシーンも見られた。

六回から八回のピンチには、野手たちがマウンドの投手に声を掛け、ベンチでもこの試合はスタメンを外れた松田宣浩が、声を枯らしながら檄を飛ばしていた。

そして、1点をリードして最終回の九回を迎える。

「九回に、これまでの試合で抑え投手を務めていた牧田和久ではなく、則本昂大を登板させたのは、彼に自信を取り戻させる狙いがあったようです。前回登板で則本は3イニングを投げましたが、2イニング目に打ち込まれています。だから、1イニングを全力で抑えてもらってという考えだったのでしょう。しかし、則本は普段のプロ野球で使うボールとは違うWBCの公式球だと、真っ直ぐが本来の軌道にならないのです。シーズン中の則本の真っ直ぐは、バックスピンが多く掛かって、打席で投球を見るとボールが浮き上がってくるよう感じられます。ですが、WBC公式球だと、どういうわけか、そういうふうにならない。だから、則本は変化球を多投してしまう。権藤コーチはストレートで押すことを指示してマウンドに送りました」(同・スタッフ)

則本はWBC公式球に対して「違和感はない」と言うが、同じ症状に陥った投手が、過去にもいた。2006年と2009年のWBCに出場した藤川球児である。則本も藤川同様に本来の力を発揮できないでいる。そして、オランダのスクープに同点打を許してしまった。

 

選手層の差が勝負を決めたタイブレーク

「試合は延長十一回に入って、大会初の『タイブレーク』が適用されました。延長戦が長引かないようにするため、イニングの最初から無死走者一二塁で始まるルールです。表の攻撃で先手を打った侍ジャパンは、途中出場の鈴木誠也に犠打をさせ、走者を二塁と三塁に進めて2点を奪いました。一方のオランダは、犠打で走者を進めずに、長打を放って2点以上を奪ってサヨナラゲームにしようとしてきました。ただ、このときには四番のバレンティンに代わって、サムズが途中出場しています。オランダは投打ともにスタメンと控え選手との差が大きく、目論見が外れました。逆に侍ジャパンは、この試合で初めてスタメンで起用された秋山翔吾が2打点を挙げており、層の厚さで勝ち切れたと言ってもいいでしょう」(ベテラン記者)

侍ジャパンは1次ラウンド最終試合の中国戦を前に2次ラウンドへの進出を決めており、これまでのスタメンを変更して、各選手に“試合慣れ”させる機会があった。

そして、侍ジャパンの裏方は、1次ラウンドのプールAを1位通過したイスラエルの情報収集に追われている。

「MLBで実績のある選手もいますが、アメリカのMLB下部チームのAAAや独立リーグでプレーする選手が多く参加しています。必然的に情報も少く、選手を不安にさせるかもしれない。なるべく情報を集めて、有利に戦えるように準備しています。これも、世界一へ向けての試練と言うことなのかもしれません」(前出・スタッフ)

今大会で最も苦しい試合をものにした侍ジャパン。2次ラウンドの残りの相手は、1次ラウンドでも対戦したキューバと、未知の選手が多いイスラエルだ。それを勝ち抜けば、ベスト4が進出する決勝ラウンドが待っている。

 

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