「野球王国」の威信をかけて侍ジャパンに挑んだキューバ

waka / PIXTA(ピクスタ)

2017ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンドで、野球日本代表『侍ジャパン』は2戦目をキューバと戦い、8対5で勝利を収めた。この試合に敗れたキューバは、決勝ラウンドへ進出する可能性が極めて低くなった。

八回裏に山田哲人が2点本塁打が打った瞬間、キューバ全選手の表情が変わった。完全に士気を喪失した。キューバ代表を指揮するカルロス・マルティ監督は、日本の報道陣に囲まれる度に次のようなコメントを繰り返していた。

「(今大会は)我々の威信、野球王国としての誇りを取り戻すんだ」

キューバの代表選手、そして、代表入りこそしていないが、国内リーグを盛り上げている野球選手たちは“国家公務員”である。国内には、育成を目的とした年齢別カテゴリーのチームもある。しかし、そのカテゴリーを経験した選手たちのほとんどがアメリカへ亡命してしまい、いまではMLBでプレーをしている。そのため、力が衰えているベテラン選手まで代表招集しなければならない現状だ。

「試合前に取材のためにフィールドへ降りていた解説者や、放送局のアナウンサー、各新聞社の記者は『きょうはコールドゲームになる可能性も』と話していました」(スポーツ紙記者)

 

しっかり日本対策をして望んだキューバだったが…

しかし、キューバは前日のイスラエル戦に4対1で敗れており、侍ジャパンとの一戦を落とせば、決勝ラウンドへ進出する可能性がほぼ無くなる。日本戦は絶対に負けられないという気持ちと、野球王国としての威信と威厳をかけて臨む試合だった。

そのキューバの先発投手に起用されたバノスは“軟投派”だった。縦に割れる大きなカーブとチェンジアップが武器で、ストレートは140km/h台前半の前半。今大会で侍ジャパンは変化球投手を攻めあぐねており、マルティ監督はそれを見越してバノスを先発させ、打線も変更してきたのだ。

そのマルティ監督の目論見は当たり、二回表に逆転に成功すると、その後は中盤までリードを奪う展開で試合は進んだ。しかし、その計算を崩したのが、勝ち越し犠飛を放った内川聖一と、山田哲人だった。

侍ジャパンが勝ち越しに成功した八回裏の攻撃は、キューバの小さなミスから始まった。松田宣浩の打ち損じた打球はショートへ転がり、一塁への送球の際に一塁手が捕球をしそこねた。この出塁を、次打者の秋山翔吾が左前安打でチャンスを広げ、代打の内川が犠飛で松田を生還させたのだ。

侍ジャパンの打線はこの試合で、“追いつくけど追い越せない”という展開を繰り返していた。しかし最後に逆転に成功し、同時に“野球王国”キューバの威厳まで打ち砕いたのだ。

 

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