東日本大震災から6年が過ぎた。事故を起こした福島第1原発の現状については、いまだに詳細が分からない状況だ。
世論調査を見てみると、国民の過半数が原発の再稼動に反対している。しかし、原発が必要だとする意見も少数ながら一定数あり、その根拠としては「再生可能エネルギーは原発の代わりにならない」、「石油・天然ガスは高いので電気料金が上がる」、「原発は温暖化ガスを出さない」などといったものが目立つ。
確かに、現在の国内電力を太陽や風力などの再生可能エネルギーだけでまかなえるものではない。しかし、この6年間、電力供給を中心的にまかなってきたのは火力発電だ。今後も短期的には火力発電に頼らざるを得ない。だが、燃料として石油よりも安上がりになる可能性があるのが、アメリカ産の『シェールガス』だ。
「シェールガスは天然ガスの一種で、2005年ごろからアメリカで安く掘り出す技術の開発が本格化しました。そのアメリカ産シェールガスが、1月6日に初めて日本に輸入されました。これは中部電力と東京電力が出資しているJERAが買い付けたLNG(液化天然ガス)ですが、日本のエネルギー市場において革命的な意味合いを持つと言えるでしょう。日本では現在、LNGは石炭を抜いて、石油に次ぐ第2位のエネルギー源となっているからです」(エネルギー問題に詳しいジャーナリスト)
トランプ大統領も資源開発に積極的
JERAが今回輸入したのは2週間分の燃料にあたる7万トンだけだが、今年は計約150万トン調達する計画だ。2018年後半には年間調達総量の1割に当たる計400万トンに拡大するとしている。
他社もこの動きに追従し、東京ガスも今年度後半には140万トン、大阪ガスは2018年に220万トンを調達する予定だという。こうした動きが本格化すれば、消費者は料金の低下という恩恵を受けられる可能性も出てくる。
「アメリカではメリーランド州、ルイジアナ州、テキサス州に4つのLNG輸出基地を建設中です。アジアと欧州向けの拠点となり、2016年から2019年のあいだに稼働開始を予定しています。アメリカのトランプ大統領は資源開発に積極的といわれ、このことも追い風になるかもしれません」(同・ジャーナリスト)
天然ガスは燃やしたときに排出される二酸化炭素の割合が石油や石炭より少なく、環境負荷が少ないエネルギーの一つである。将来的には再生可能エネルギーをメインにするにしても、その過程にシェールガスを有効活用しようという動きが活発になるかもしれない。
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