「日本プロ野球の未来は暗い」と感じさせられた出来事

TOSHI.K / PIXTA(ピクスタ)

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5月5日、福岡市にある福岡ソフトバンクホークスの本拠地、ヤフオクドームでおこなわれたソフトバンク対オリックス・バファローズ戦で、こどもの日にちなんでスコアボードの選手と審判名がひらがなで表記された。オリックスのT-岡田は《てぃーおかだ》になっていた。

「子供たちに選手を覚えてもらおうと、こどもの日に合わせた特別企画でした。外国人選手は、通常通りカタカナで表示され、同姓の選手がチームにいるオリックスの3番打者、吉田正尚は《よしだまさたか》とフルネームで記されました。阪神甲子園球場や神宮球場でも同様の企画が催され、6日の阪神タイガース対中日ドラゴンズ戦でもスコアボードにはひらがなが並びました」(プロ野球担当記者)

しかし、これは本当に子供のためのファンサービスになっているのだろうか。本当に子供のファンを増やすことを考えていかないと、将来のプロ野球人気の衰退につながると警鐘を鳴らす意見がある。

 

いまの観客はリピーターばかり

「プロ野球ファンは統計上では増えています。昨年、日本野球機構(NPB)が公表した公式戦の観客動員数は2513万9463人でしたが、これは実数発表を始めた2005年以降では最多です。2005年は1992万4613人でしたから、12年間で500万人以上が増加しています。しかし、その中身を見ると、子供ファンを獲得しないと将来が危うい構造が隠れています。というのもかつては、年に一度の地方におけるプロ野球開催を楽しみに、地方球場には鈴なりのファンが駆け付けたものですが、いまはプロ野球チームがない地方では、野球人気はさっぱり。ですから千葉ロッテマリーンズや横浜DeNAベイスターズのように、地方での定期試合をやめてしまった球団もあるくらいです」(スポーツライター)

現在のプロ野球は、本拠地のある限られたエリアで濃厚なマーケティングがおこなわれている。これが観客動員数を伸ばした要因だとこのスポーツライターは言う。

「観戦するファンの多くは、エリア内に住むリピーターなのです。つまり、ひとりのファンが3回、4回と複数回球場に足を運んだからこそ、史上最多の観客動員数を記録したのです。つまりファンの裾野は広がっていないのです」

子供が野球好きになったとしても、昭和のころのように公園で野球をすることはできない。《キャッチボール禁止》などと注意書きされた公園が増えているためだ。野球をできる場所の確保から始めないと、プロ野球も衰退していくだろう。

 

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