洋食老舗・日比谷松本楼が行う「10円カレーの日」

9月25日は『10円カレーの日』。

日比谷公園のど真ん中にある、創業114年の洋食老舗『松本楼』のカレーが10円で販売される年に1度の特別な日だ。

44回目となるこの取り組みの裏側に隠された想い・こだわりについて、松本楼の専務取締役 吉田 俊秀さんにお話をうかがった。

 

-10円カレーの始まりの経緯は?

「(松本楼は)昭和46年、沖縄闘争の時に焼き討ちされました。

その後、昭和48年に再建した時からこの取り組みを始めているので今年で44回目となります。

当時は資金的に裕福ではなく借金をして再建をしなければならなかった。そんな厳しいときに本当に多くの方々から温かい声援、励ましの声をいただいたんです。

その時の感謝を込めて、現社長の父親が始めたのが、この10円カレーイベントなのです。

当初は、“励ましてくださった方への感謝”という意義が強かったこのイベントですが、何年後からか、今度は松本楼が“励ます=寄付”へと、その意義が変わってきました。

初めは交通遺児への支援、その後ユニセフさんと組み世界の子どもたちへの支援、阪神淡路大震災や東日本大震災の復興支援を行っており、今年は熊本地震への寄付を予定しています。」

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「10円カレー」という名前のため、10円でカレーを食べるという目的で来られる方ももちろん多いそうだ。

しかし、10円だけでなく、1,000円~10,000円寄付してくださる方もおり、寄付金は最終的には25万円ほど集まるとのこと。

そこに、松本楼からの義援金20万円程を合わせ、合計50万円弱を毎年寄付しているという。

 

過去、アグネス・チャンとのコラボカレーや100円カレーなど企画内容を変えたことはあったものの、今では“10円カレー”が夏の終わりの俳句季語とされるほど定着してきている。

「100年以上経った今も、経営者が変わらない数少ない老舗として、今後も社会貢献をしていきたい」と吉田さんは語る。

 

松本楼の歴史は思ったよりも深い。

114年前、陸軍の訓練場であった場所に日比谷公園が作られた。それと同時に、当時銀座にあった松本楼が現在の場所に移転したのだ。

そんな歴史を持つこの名店には、太宰治など数多くの著名人・文豪が足を運んでいたそうだ。高村光太郎の『智恵子抄』をはじめ、夏目漱石や松本清張などの作品にも「松本楼」の名前が出てくるという。

また、最近では平成20年5月6日に福田康夫総理(当時)と胡錦濤国家主席の歓迎夕食会が当松本楼で行われた。

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著名人に好まれる理由は、実際に足を運べばわかるだろう。

日比谷公園内ど真ん中に店を構えているためか、霞が関駅からすぐという立地にも関わらず、自然に囲まれとても静かな環境である。

さらに、テラス席は「くびかけ銀杏」と呼ばれる日比谷公園のシンボルにも面している。

 

「くびかけ銀杏」とは、日比谷公園改設まで日比谷交差点にあった樹齢400年にもなる大銀杏を、日本林学界の巨星『本多静六』が移植したものだ。

当時、不可能と言われていたにもかかわらず、本多静六が自分の首をかけて移植を実行し、成功に導いたと言い伝えられており、現在ではパワースポットとして紹介されている。

夏はその銀杏が日差しから守り、冬は葉を散らせテラス席に温かい日差しがさすという。

その銀杏には、松本楼が焼けたときの跡も残っていた。

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当日10円で販売されるカレーは、普段は『ハイカラビーフカレー』として販売されているもので、およそ1ヵ月前から準備を行っているそうだ。

「昔ながらの黄色い色をした欧風カレーを用意しているんです。私も初めて見た時その黄色さにとても驚きました。」と、吉田さんは言う。

写真だと少し伝わりずらいが、実際は確かに黄色く、間違いなく万人受けするであろう一口で安心させるようなコクとまろやかさを持ち合わせたカレーであった。

また、その中に入っているお肉がトロトロに柔らかく口のなかでとろけ、最高に美味しかった。

 

普段からこのレストランは盛況で、イベントでない日でも行列ができるという。

そんな人気店の、この10円カレーイベントには、例年大行列ができるので、参加を考えている方は事前情報を抑えたほうがいいだろう。

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-10円カレーは何時までに並べば食べることができますか?

「11時開店で、13時までの2時間10円カレーを提供し続けております。

先着1,500名としているのですが、毎年40~50名の方が前日から並びはじめており、当日10時ごろには定員に達します。

雨の日や休日は出足が遅くなるので今年はどうなるか分かりませんね。」

今後、東京オリンピックや50周年に合わせた企画も考えるという。

名店のカレーをいただきながら被災地への復興支援も行えるこのイベントに、今週末は足を運んでみてはいかがだろうか?