“まいんちゃん”福原遥の部屋をエッチな気分で覗き見ると…『羊とオオカミの恋と殺人』

羊とオオカミの恋と殺人

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『羊とオオカミの恋と殺人』

配給/プレシディオ TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開
監督/朝倉加葉子
出演/福原遥、杉野遥亮、江口のりこ、江野沢愛美、笠松将ほか

女の姿は万華鏡、裏表使い分けは年季が入っている。オトコなんかとてもかないません。この新作も、オオカミは女性で、いたいけな羊は男子だからね。最初っから勝ち目ナシ? そんなシチュエーションを血飛沫飛び散るスプラッター系ラブ・コメ(?)に仕上げた監督の朝倉加葉子も当然女性で、試写後に歓談したが、虫も殺さぬ顔をして「スプラッター大好き」を公言する頼もしさ。やっぱり!

大学二浪中で、アパートに引きこもりの黒須(杉野遥亮)は人生に絶望し、壁に付けたフックで首吊り自殺を図るが、あえなく失敗。その弾みでできた壁の穴から隣室をつい覗くと、住んでいる美人女子大生〝宮市さん〟(福原遥)の私生活が丸見えに。次第に彼女の虜になってゆく黒須だが、ある日、彼女が手慣れた感じで行う殺人行為を目撃し、しかもそれが彼女にバレてしまい、さあ大変…。

 

“ダブル遥”の天然カップルぶりがイイ

隣室の美女は殺人鬼、って映画的には実に興味津々。今夏の邦画『メランコリック』、洋画『やっぱり契約破棄していいですか!?』など、今年は気弱系男子のヤバいこと巻き込まれシネマの当たり年か。ヒロインの福原遥は、酒井法子(例が古い?)の若いころにも似たキュート感で魅了する。まさに〝虫も殺さぬ顔をして〟コワイ、怖いのだが、まるで舞踏のように、血飛沫も盛大にプロの手口で殺しを敢行する姿はウ、美しい。決して無差別ではなく、オモテやウラで悪事を働いている人間限定なのが納得。説明過多ではないので、誤解する人もいようが、彼女なりのルールに納得する。

杉野クン扮する青年が思いっ切りヘタレ系なのもイマドキです。彼女の前で、「僕なんか(人間として)浅いですよ。浅瀬で溺れそうなくらい」とか「僕の頸動脈はキミのもの」とかの珍・名セリフもポンポン。偶然だが、ともに名前に「遥」が入るこの若手男女優コンビの〝ダブル遥〟による天然カップルぶりに、オジサンは〝胸キュン(古い)〟だぜ。

覗きシーンもなかなか凝っていて、ホールの先に展開する彼女の魅惑の着替えをガン見するあたり、分かるなあ。その昔、わが学生時代、アパートの壁が薄いもんで、隣人のかわいい若妻さんの〝営み〟の声が聞こえてきて、思わずコップを壁に押し当て、耳をそば立てたことがあったっけ(ごめんなさい)。翌朝、何も知らない彼女に「おはようございます」と明るくあいさつされると、とてつもなく罪悪感に苛まれたっけ。そんな恥ずかしい思い出もよみがえらせてくれるほどの面白さ、と断言したい。

朝倉監督に〝恋と殺人〟ラブ・コメを、次はエロス含みでもう一丁、とお願いしよう。

 

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