自暴自棄のホームレスを助けた「野良猫ボブ」の不思議な力と再起までの物語

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彼の名はジェームス。18歳の時にロックスターをめざし、あこがれの大都会ロンドンへ、たった一人でやってきた。

しかし、何をやってもうまく行かず、自暴自棄になった彼は、ドラッグに手を出しホームレスとなり、坂を転がるようにして“転落の人生”を歩むことになった。

■再起の第一歩へ

その後もジェームスは薬物を乱用し、ヘロインの慢性中毒に陥り、路上で行き倒れになっているところを、地元ロンドンのボランティア団体に助けられ、紹介されたワンルームの公営アパートで薬物依存から抜け出すべく、更生プログラムを受け始める。

そんなある日のこと、彼はアパートの玄関先で傷ついた一匹の猫を発見する。よく見れば体はやせ細り、何ともみすぼらしい上に、腹や足に怪我をしているので、満足に歩けない状態のようだ。

■運命の出会い

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自分のアパートの前であることに加え、“不思議な運命”を感じた彼は、そのままにしておけなくなり、猫を抱き上げると動物病院へ駆け込んだ。有り金をぜんぶ差し出して、猫を治療して貰うことにする。

幸いなことに猫は適切な治療と、ジェームスの熱心な看病により順調に回復し、2週間ぐらいですっかり良くなった。

すでに愛情が芽生えていたので、彼はそのまま飼ってやりたかったが、そんな余裕はなく、自宅から数km離れた公園に悲痛な思いで猫を放し、そのまま別れを告げる……

だが、戻ってきた

ある日ジェームスが路上でいつものようにギターを弾いて日銭を稼ぎ、アパートに戻ると、なんという事だろう、玄関にあの猫が座っているではないか!

アパートと公園は数kmも離れているのに、猫は一人で戻ってきたのだ……

この出来事をきっかけにジェームスは「この猫を飼おう」と心に決め、名前を『ボブ』と付けることにした。

そして、一緒に暮らし始めて少し経ったころ、なぜかボブがアパートからどこまでも後を付いてくるので、ジェームスはやむなくボブを連れ、いつもの通りコヴェントガーデンの路上で演奏をはじめると……

■奇跡が起きた!
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それまでは見向きもしてくれなかった通行人が、何故か立ち止まって聴いてくれるようになり、その日の売り上げは、なんといつもの3倍になってしまったのだ!

■ボブの不思議な力

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ボブは路上で長く暮らしていた為か、通行人がそばを通ってもまったく人見知りせず、まるでジェームスを助けるかのように、彼のそばから一歩も動かない。

そんな健気な姿が人々の目を引き付けた。通行人が手を出せば、すぐハイタッチに応じるなどの愛くるしい振る舞いで、ボブはたちまち人気者となった。

ジェームスもそんなボブの姿に勇気付けられ、徐々に薬物依存から抜け出し、貧しいながらも何とか一緒に頑張っていると、彼に思わぬチャンスが飛び込んでくる。

■2人の本を出版することに

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ある日、ボブとジェームスの人気を聞きつけた出版社が『A Street Cat Named Bob』という本を出さないかと依頼された。彼は快く承諾すると、いきなりその本が大ヒットしてしまったのだ!

この本は海を渡ってアメリカでも大評判となった。今では『ボブという名のストリート・キャット』と、日本語でも出版されている。

だが、彼は本で得た印税のほとんどを、捨て犬や捨て猫の為の救済基金として、惜しげもなく寄付してしまった。

これは何故だろうか?

推測だが、ボブという最愛の相棒を得たことに対する恩返しなのかもしれない。また、彼自身もロックスターとは言えないが、いまや世界中の人気者となり、十分に再起を果たすことができた。その喜びの気持ちが、彼をそうさせたのかも知れない。

ジェームスとボブは固い絆で結ばれ、たくさんのファンに囲まれながら、いまもロンドンの路上で演奏を続け、本を売って生計を立ている。暮らしも以前と比べ、ずいぶん楽になったそうだ。

「人生を諦めなければ誰でも必ずセカンドチャンスが巡ってくる」

このことを二人は、身をもって教えてくれたのだろう。

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ふたりの末永い幸せを心から祈りつつ、筆を置きたいと思う。

 

 

 

【写真提供】

Homeless musician James meets homeless red cat Bob-Radass.com

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