昭和ロマンポルノの香り…“演技派”川上奈々美新作映画『東京の恋人』

東京の恋人

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『東京の恋人』

配給/SPOTTED PRODUCTIONS 渋谷ユーロスペースほかにて公開
監督/下社敦郎
出演/森岡龍、川上奈々美、吉岡睦雄、階戸瑠李ほか

コロナ禍での巣ごもり中、美保純主演作をはじめ、昭和後期の日活ロマンポルノ路線を何本か見返しただけに、劇場公開されたばかりのこの新作の〝ロマンポルノ的アプローチ〟とのキャッチに昭和のニオいを嗅ぐ思いがして、どうにも気に掛かった。ちょっと古めかしさの漂う題名『東京の恋人』からして、昭和27年製作の三船敏郎、原節子主演作と同名である。下社(しもやしろ)監督は「女性の裸も好きですし、ピンク映画やロマンポルノも好きです」とインタビューで明快に語っている。その意気やヨシ。

結婚を機に、映画監督となる夢を諦め、群馬に移住した立夫(森岡龍)は、ある日、学生時代に付き合っていた元カノの満里奈(川上奈々美)から「写真を撮ってほしい」と突然連絡を受け、数年ぶりに東京へ。満里奈とのセックスを久々に楽しみ、かつての仲間との交流を経て、立夫は〝青春との決別〟を思い知る…。

 

屹立した乳首が悩ましい…

昔の恋人との再会がテーマなのだが、夢への未練、女への未練…つくづく思うのは、男ってホント未練の動物なんだな、ということ。立夫が別れを切り出したとき、満里奈に言われた「〝懲役18年〟よ。今後、少なくとも18年、私に囚われていて」という呪縛めいた暗示にからめとらわれているのがオカシイ。

約束通り、奈々美を海辺で撮影、近くのホテルの一室でヌード撮影を続ける。小ぶりながら形よいバストが顔を出す。ごく自然な形でヘアもポロリ。ベッドで四つん這い痴態を撮っていると、森岡の股間の勃起を奈々美が発見し、笑い転げるのを合図にくんずほぐれつ、正常位でフィニッシュ。その流れで、2回戦はバックからアナル・セックスへと移行する。窓際で痛さに顔を歪めながらも感じている奈々美の屹立した乳首が悩ましい。

ロマンポルノ的コケテッシュな魅力も発散する。同じ川上姓で、ロマンポルノ出演歴のある女優で連想すると『うれしはずかし物語』(88年)などの川上麻衣子タイプかな。この川上奈々美、二つ名は〝AV界の演技派〟で、18年度のピンク大賞主演女優賞も獲得しており、昨年にNetflixで話題になった『全裸監督』のエピソードの1つでもゲスト主演している。今後、さらに活躍の場を広げてほしい。

〝東京〟と謳いながら、東京らしさは希薄。そこがいい。〝青春の終わり〟的な話だと感傷過多になりがちだが、結構ドライで、性描写も即物的なのがイイ。上映時間も81分と〝ロマンポルノ〟サイズ。それもいい。こういう話をダラダラやられたら困るからだ。

 

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