
「日本の未来を担うみなさんへ」(安倍総理から子供たちへのメッセージ)- 内閣府 2016年11月8日
2016年11月8日、安倍晋三首相が発起人となっている「子供の未来応援国民運動」創設1周年が総理官邸で行われた。
これは、内閣府、厚生労働省、文部科学省、公益財団法人が協力し合いスタート。貧困の状況におかれた子どもを支援するために設立された。創立1周年記念では、昨年の10月~1年間で約7億円の寄付金が集まったことを発表。それと同時に「こども食堂」の子どもたちにメッセージを送った安倍首相だったが、そのメッセージ内容が原因となり、「こども食堂」運営関係者やツイッターの間で批判が相次いだ。「(こども食堂は)元々政府がやるべきことでは?」という意見が多くを占めた。
最低生活費以下で暮らす子育て世帯が13.8%
「日本の子どもの6人に1人は貧困状態」という言葉を聞く機会は多いものの、実際どのくらいなのか?山形大学 戸室健作准教授の研究結果で明らかとなっている。
研究によると、最低生活費以下の収入で暮らす子育て世帯が全国で70万世帯から146万世帯へ、パーセンテージにすると5.4%から13.8%。1992年から2012年の20年間で、約2.5倍も増加していることが判明している。
こども食堂を改めて考えてみる
そこで、子どもの貧困と孤食問題に対応するべく発足したのがこども食堂である。
日本に初めてこども食堂が誕生したのは、東京都大田区にある『気まぐれ八百屋 だんだん』(2012年8月29日オープン)だといわれている。その後、メディアで「ねりま こども食堂」が取り上げられると、大きな反響を呼んで国民に知られるようになった。
「こども食堂」のコンセプトとは子どもたちにとって、ただ格安で食事を提供してくれる場所ではないよう。一番大切なことは、孤立化が深まるこの日本で、子どもが1人でも安心して立ち寄れる、地域の人たちと繋がる“団らん”の居場所があるということのようだ。
思い返せば昭和の時代、近所の友達の家へ遊びに行くとその家のおばさんがきまって「ちょっと、夕飯食べていきなさい。お母さんに電話しておいてあげるから」と言い、夕食をご馳走になっていたもの。「こども食堂」も、そんな懐かしい日本の温かさが伝わってくるようだ。

『子ども食堂 キタクマ』提供
「こども食堂」運営者の苦悩
ところが「こども食堂」をこの地域で始めたい!と思っても、地域の方々に、「この地域が貧困の子どもが多いように見られるから」と反対されるケースも少なくない。地域の方々にわかりやすく説明するとともに、コミュニケーションをはかって受け入れてもらえるよう、運営側の絶え間無い努力を要求されているようだ。
また、いざオープンしても貧困の子どもが本当に利用してくれているのか、事実が見えない。格安で食事が食べられるからと、貧困世帯ではない家族が来ている場合が多いように感じる……など、実際に戸惑うことも多くあるとか。
こども食堂を子どもや親、近所のお年寄りやおじさん、おばさん。みんなが気軽に利用できる”憩いの場”としたい反面、本当に必要としている貧困の子どもが来てくれているのか?という不安があるという。このバランスは、非常に難しい。
まだまだ活動実績の浅い「こども食堂」。今後の課題も多くありそうだ。
【参考】
※ 都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討 – 山形大学人文部法経政策学科 戸室健作
※ こども食堂ネットワーク『子ども食堂 キタクマ』ホームページ
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