鈴木砂羽“完脱ぎ”映画『愛の新世界』~史上初のヘア解禁で観客総勃ち!

愛の新世界 

作品目『愛の新世界』

東映 1994年 DVD発売中
監督/高橋伴明
出演/鈴木砂羽、片岡礼子、萩原流行ほか

最近はバラエティー番組でも活躍中の個性派女優・鈴木砂羽。以前は女優としての自負が強く「私はこんなふうに(バラエティーで)使われるタマじゃない」と思っていたそうだが、知名度を上げ、映画の動員につなげるため、あえて出る決意をしたそうな。この間、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)で〝激辛レッドガバオライス〟を食って悶絶、それでも女優魂&激辛好きの意地を見せつけ、あと少しで完食まで頑張った。思えば、彼女の映画デビュー作であるこの作品で一目惚れ! 以後〝砂羽ウオッチャー〟を自認している僕である。

無名の小劇団の団員で、SMクラブの女王様を収入源としているレイ(鈴木砂羽)は、ある夜、仕事先のビルのエレベーターで時々顔を合わせるホテトル嬢のアユミ(片岡礼子)と知り合い、いつか夜明けの海を見に行こう、と約束するほどに意気投合する。やがて、レイの劇団の公演日を迎え、アユミはもちろん、レイの指名客であるマゾのヤクザ・澤登(萩原流行)などが顔を出し、公演は大盛況となる。レイとアユミは、ナンパで調達した車で約束の海へ…。

ド迫力なボディーを包む黒のボンデージ姿

ラストシーンの波打ち際、全裸で戯れるレイとアユミのヘアが堂々と映され〝日本初のヘア映画〟として喧伝されたものだ。僕がインタビューした際、彼女は「〝ヘア〟のことばかり聞かれてアタマ来た」と語っていたが、オーディションを勝ち抜いたのも、その生来のふてぶてしさゆえ。バスト90、ヒップ90(当時)というド迫力なボディーを包む黒のボンデージ姿が似合いまくり。客を罵倒しまくり、責めまくるその手管は、現役の女王様を連れてきたのか、と錯覚するほど。一転、劇団員たちを相手にするときは慈母のように、無料で抱かれる。その豊満な乳房をあらわにして「今日は安全日だから、(中出ししても)いいのよ」と男たちの精を受け入れるあたり〝観音様〟だね。

鬼才・高橋伴明監督は「陰鬱など微塵もなく、日々を楽しむ乾いた明るさを持つ者たちを描いた」と記している。フーゾク嬢というと、これまで偏見に満ちた描き方しかされなかったが、この傑作はそこを小気味よく突き抜けているのが何より。鈴木砂羽はこの映画で各映画賞新人賞を独占し、それから四半世紀。今後の課題はこのデビュー作に匹敵する新たな傑作を生み出すことか。できればエロス付きで。

インタビューで彼女に「もはやタブーはないでしょ」と聞いたら、「う~ん。乳首かな。ハプニングで見えちゃったら仕方ないけど(笑)」とのこと。実に頼もしい。

(映画評論家・秋本鉄次)

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