多業種にわたりノミネートされた今年の「ブラック企業大賞」

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

 

今年で第5回となる『ブラック企業大賞』のノミネート企業が発表された。『電通』、『ドン・キホーテ』、『関西電力』、『佐川急便』などそうそうたる大企業10社だ。

この賞は、日常的に労働相談に取り組んでいる弁護士や市民団体、ジャーナリストなどで構成された実行委員会によって実施されている。誰でも事前にウェブサイトから投票することもでき、12月23日に行われる授賞式で大賞や各賞が発表される。

ブラック企業の定義について、実行委では、《労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業》、《パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)》としている。

委員の一人である佐々木亮弁護士は「現在までの20年間でブラック企業は確実に増加した」と指摘。また、人手不足傾向にあるここ数年は特に、労働者から寄せられる相談として「退職させてもらえない」、あるいは「入社したら条件が違っていた」などが増えているという。以前は労働相談というとリストラ問題が典型だったそうだが、相談内容も時代とともに変化しているようだ。

では、今年ノミネートされた10社について、何が問題だったのかを具体的に見てみよう。

  1. 『エイジス』はJASDAQ上場の棚卸し代行業者で、従業員63名に月100時間超の残業をさせていたとして、千葉労働局から是正勧告を受けた。また、5月に厚生労働省から行政指導を受け、全国で初めて企業名が公表された
  2. 『電通』では、新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が昨年末に過労自殺し、10月には同社に厚労省の強制捜査が入り、大規模な家宅捜索が行われた
  3. 『ドン・キホーテ』は都内の従業員8名に違法な残業をさせていたとして書類送検されており、3カ月で415時間の時間外労働をさせていたケースもあった
  4. “♪ネットでいんさ~つ”のテレビCMで有名な『プリントパック』は、2013年に労働組合が結成されたあと、組合員に対する配転命令やボーナスを支給しないなどの扱いをしており、7月に京都府労働委員会から不当労働行為と認められた
  5. 『関西電力』では、高浜原発1、2号機の運転延長申請を担当していた管理職の男性が4月に自殺しており、この件が過労自殺として労災認定され、1カ月の残業が200時間を超える月もあった
  6. 『佐川急便』では、経理などを担当していた男性社員が2011年にうつ病で自殺、男性は上司に唾をかけられたり、エアガンで撃たれたことをSNSに投稿されており、男性は退職を願い出るも、上司は「そんなの関係ない」と残務処理を指示していたことで、仙台地裁が労災を認定した
  7. 『サトレストランシステムズ』は『和食さと』、『すし半』、『さん天』などを展開する飲食チェーンの大手で、従業員に違法に時間外労働をさせ、残業代の一部を支払わなかったとして、労働基準法違反の疑いで、さん天事業推進部長や店長ら5人が書類送検された
  8. 宗教法人の『仁和寺』では、元料理長の時間外労働が毎月140時間ほどに及んでおり、また年間の勤務日数が356日に達し、そのうち349日は連続出勤となっていたため、元料理長は慰謝料などを求めて提訴し、京都地裁は訴えを認めて約4200万円の支払いを命じた
  9. 『ディスグランデ介護』(茶話本舗FC企業)は大手デイサービス『茶話本舗』のフランチャイズ店舗で、従業員に対する賃金未払いなどを理由に労基署から是正勧告があったほか、人手不足で休憩時間をほとんど取らせていない状態だった
  10. 『日本郵便』では、2011年4月から福岡県飯塚市の郵便局で勤めていた男性が6月にうつ病などで休職、12月に心疾患で死亡しており、福岡高裁でパワハラとうつ病悪化との因果関係が認めた

こうして見てみると、以前は飲食業界に目立っていたブラック企業だが、いまは一流と呼ばれる企業や普段の生活でよく利用する企業、さらには宗教法人まで、幅広い業種がノミネートされている。不名誉な“ワースト企業”の座に輝くのはどこか。

 

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