石田えり“完脱ぎ”映画『遠雷』~映画史に燦然と輝く圧巻のビニールハウス騎乗位!

遠雷 

作品目『遠雷』

ATG 1981年 DVD発売中
監督/根岸吉太郎
出演/永島敏行、石田えり、ジョニー大倉ほか

今や女優で〝石田〟といえば、石田ゆり子に他ならない。新作映画の『望み』で、息子は被害者なのか加害者なのかと苦悩する母親を熱演していた。ここで、少し前だったら、「もう1人、石田を名乗る女優を忘れちゃいないかい?」と讃岐代参の森の石松のようにツッかかるところだ。そのもう1人とは石田えり! 3年前には『ライザップ』のCMで、鍛え抜かれた美ボディーの水着姿を惜しげもなく披露していた彼女の代表作の1本であるこの映画は、個人的に某専門誌の「80年代日本映画の10本」に選んだほど忘れられない作品である。

都市化の波に洗われる80年代初頭の宇都宮近郊。農家の次男・満夫(永島敏行)は、家出した父、東京に逃げた兄に代わってトマト栽培の土地を辛うじて守っていた。満夫は見合いした自由闊達なあや子(石田えり)と、その日のうちにモーテルにしけこむ。満夫の周辺はトラブル続きで、彼も人妻と浮気したりするが、やがてあや子と結婚し、トマト栽培を一緒に守る決意をするが…。

イタリア女優のようにグラマラスな石田えり

映画自体も忘れられないが、石田えりの素晴らしい裸体の存在感も網膜に焼き付いている。モーテルのシーンで、躊躇なく服を脱ぎ、あっけらかんと全裸になる石田に永島は「ペロリだな」とつぶやく。「何それ?」と聞かれると、「いい身体ってことさ」と答えるのだ。

石田も負けていない。「先に言っておくけどさ。アタシ、あんたが5人目よ」と奔放さを隠さない。このやり取りが素晴らしい。それまでの農村を舞台にした日本映画にはなかった新鮮な応酬だったからだ。

石田の裸体は、すっくと誇らしくそびえ立ち、乳房、乳輪、乳首とも申し分ない。あたかもソフィア・ローレンなどの往年のイタリア女優のようにグラマラスで、観ていて惚れ惚れしたものだ。プロデューサーの岡田裕氏は「石田さんの自然な肉体美が、この映画に生活感を与えてくれた」と彼女を称えている。

石田が繰り出す奔放な性は、〝ビニールハウス騎乗位〟でも遺憾なく発揮される。真っ昼間のトマト栽培のハウスの中で、永島とおっ始める営みは、石田が上に乗ってダイナミックにグラインドさせての熱戦だ。扇情的なシーンだが、この大地に根を張って、たとえトマトがアブラムシの大量発生で全滅しても、不動産屋が土地を売れと口説きに来ても、絶対守ってゆくという決意の象徴とも映る。

(映画評論家・秋本鉄次)

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