電通の「ブラック企業大賞」受賞を大きく取り上げたメディアは…

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

『ブラック企業大賞2016』の大賞に、広告代理店の電通が選ばれた。今年はドン・キホーテ、関西電力、佐川急便などの有名企業を含む10社がノミネートされるなかで、電通はワースト企業として不名誉な烙印を押されたことになる。

ブラック企業大賞は2012年から毎年選考され、今年で5回目。日常的に労働相談に取り組んでいる弁護士や市民団体、ジャーナリストなどで構成された実行委員会によって実施されている。

今回の大賞受賞は、2015年12月当時24歳で新入社員だった高橋まつりさんが、過労を原因に自殺したことが理由になっている。高橋さんは時間外労働が月105時間という恐ろしいほどの長時間労働に加えて、上司からのパワハラによって精神的に追い込まれていたことが明らかになっている。

これまで電通では、13年前にも入社2年目の男性社員の自殺が過労死認定されている他、3年前にも30歳の男性社員の病死が過労死と認定されている。高橋さんの自殺以前からパワハラは日常化していたと言わざるを得ないだろう。

12月23日の授賞式では、大賞以外の各賞も発表された。『特別賞』および『ウェブ投票賞』には日本郵便が選ばれた。同社では2011年12月心疾患で亡くなった男性従業員に対し、生前にパワハラを行い、うつ病を悪化させていた。2014年にも愛知県新城市の郵便局勤務の男性がうつ病で自殺している。ウェブ投票では5958票を集め、他企業と比べて圧倒的に多い票数だった。

『業界賞』はプリントパックと、茶話本舗FC企業のディスグランデ介護だった。耳に残るテレビCMの歌で有名のプリントパックは、2013年に労働組合が結成されたあと、組合員に対する露骨な配転命令や、ボーナス不払いなどの扱いをしていた。ディスグランデは2016年に従業員に対する賃金未払いなどを理由に、労働基準署労基署から是正勧告があった。慢性的な人手不足で、勤務中はほとんど休憩を取ることができなかったという。

ブラック企業の定義について、実行委員会では以下のように定義している。

  • 《労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を意図的・恣意的に従業員に強いている企業》
  • 《パワハラなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人》としている。

昨年まで過去4回は、授賞式の会場に大手メディアの取材が入ることはほぼなかった。大賞が大企業の場合、大手メディアにとってはその受賞した会社が広告スポンサーであることがほとんどだからだ。昨年の大賞はセブン―イレブン・ジャパンだったが、テレビはもとより、雑誌にとってコンビニは最大の販売ルートであるため、週刊誌のほとんどが報道を見合わせた。

しかし今年は、電通の受賞をNHKが定時ニュースのなかで全国的に報道した。NHKはほかにも、電通に対して11月に厚生労働省が強制捜査を行ったことや、さらに現役の電通社員の匿名で身元を隠したインタビューも伝えている。広告収入に頼らないNHKだから成せるニュースだ。

ブラック企業に対する世間の目は、年々厳しさを増している。

 

【画像】

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

【あわせて読みたい】

「SMAP」解散の裏側①~「オレは木村を絶対に許さない!」

※ 「SMAP」中居正広への思いを断ち切れない元彼女の女子アナ

※ 日本の青汁がセレブの間で支持されている理由-Sponsored

※ ジャニーズ内でのし上がるために手段を選ばなくなった滝沢秀明

※ 元AKBグループで最も稼いでいるのは前田敦子でも大島優子でもなく…

※ 中居正広の新芸能事務所名が2択にまで絞られた!?