2016年は、世論調査の結果がことごとく覆された年だった。
まず、アメリカ大統領選挙において、ドナルド・トランプ氏の勝利を予測したメディアは皆無だった。州にもよるが、全体としては、当初からヒラリー・クリントン氏の優勢だという調査結果が打ち出されていた。世論調査の結果が、国民投票の結果で覆る。このようなことはアメリカ大統領選だけにとどまらなかった。
昨年は欧州で、3回の大規模な国民投票が実施されている。いずれも国民投票を呼び掛けた為政者が敗北を喫し、退陣、辞任、もしくは政治的後退を余儀なくされている。
イギリスの欧州連合(EU)離脱を問う国民投票(昨年6月23日)は記憶に新しいところだ。その結果を予測できなかったことから、世論調査全般に対する風当たりが急速に高まった。
イタリアでは昨年12月4日に、憲法改正を問う国民投票が実施された。結果は賛成が40.9%、反対59.1%となった。これを信任投票と表明してきたマッテオ・レンツィ首相は、国民投票の否決を受け辞意を表明している。
また、ハンガリーでは、昨年10月2日にEUの難民収容分担案への是非を問う国民投票を実施した。しかし、投票率が43%で、規定の50%には満たなかったため、国民投票は無効となった。
「世論調査とは、人間は正直に答えるという『性善説』に基づき、行われるものです。その情報提供者が何らかの理由から恣意的に嘘を言うケースは想定されていません。もちろん標本調査による誤差(標本誤差)を計算に入れますが、嘘の情報による誤差が大きくなれば、その世論調査の信頼性は土台から大きく揺れるのです」(リサーチ会社幹部)
これまでは、情報を入手できる手段が非常に限られていたが、インターネットの普及により、真偽はともかく数多くの情報に接することは可能になった。
「皮肉なことですが、情報社会が高度に発展すれば、情報を隠蔽しようとする動きが同時に高まってきます。世論調査が終わりを迎えるというのは当然の流れといえます」(同・幹部)
日本は今後、憲法改正など国の根幹にかかわる重要な政治課題を、国民投票によって決めようとしている。大手メディアは民主主義の体現者として世論調査を実施してきたが、これからは変化を余儀なくされるに違いない。
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