映画「彼らが本気で編むときは、」で生田斗真が難役に挑戦

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『彼らが本気で編むときは、』

スートキールス配給/2月25日より新宿ピカデリーほかで公開
監督/荻上直子
出演/生田斗真、柿原りんか、桐谷健太、田中美佐子ほか

ジャニーズ系スターの中で、生田斗真の立ち位置はますます特殊なものになってきた。ユニット組まない、基本的に歌わない、演技一本で突き進む姿は、いっそ潔い。

昨年末の『土竜の唄 香港狂騒曲』にて、お約束の“全裸”でハチャメチャな潜入捜査官を演じたが、今回は一転して“女性”になりきるのだからその振り幅は大きい。戸籍上は男性だが、すでに女性の体を手に入れ、心も女性そのものの主人公・リンコ。いわゆるトランスジェンダーという難役なのだ。

シングルマザーの母が男に走って家出したため、小学5年の女の子(柿原)は叔父のマキオ(桐谷)の家に身を寄せる。そこにはマキオの恋人のリンコ(生田)がおり、優しく迎えてくれた。こうして3人は一つ屋根の下で暮らし始めるが…。

いわゆる“疑似家族もの”の一つだが、いまの日本でも急速に関心が高まりつつあるセクシャル・マイノリティーを題材としているのが注目に値する。

女性監督の荻上は『かもめ食堂』(2006年)、『めがね』(2007年)など、食とか、民宿とか、猫とか、いわゆる、癒やし系、スローライフ系の作家といわれていたが、僕にはウソくさくて、少々苦手だった。そんな彼女が、セクシャル・マイノリティーの本場(?)アメリカで、20代以来、久々に夫と子供と1年間過ごして意識が完全に変わり、「もはや、癒やしてなるものか!」となり、オリジナルなこの映画に挑んだそうだ。なるほど、癒やし系の“尻尾”はもはや希薄だ。というより、安易に癒やしに走りそうな素材を排しているのが何より。

生田は土竜の唄でも女装していたが、あれはオフザケの範囲内(撮影は2016年春。『彼らが~』が先で、その2週間後に『土竜~』の撮影に入るハード・スケジュール)だったが、こちらはナリだけではない、仕草も、発声も本格派。老人ホームで介護士として働く姿も無理がない。もともと鋭角的なイケメンの生田だけに、かなりの“大柄美女”に映るが、桐谷や柿原との生活描写に違和感はゼロである。

ビール好きの主人公が「ビールを考えた人にノーベル賞をあげたい」という、さりげない台詞の自然さがイイのは、ボクもビール好きだからか。少女からの「切ったチ○コはどうなるの?」という素朴な疑問に、リンコがちゃんと答えるのもステキだ。

題名にちなんだ“編み物”に関してもちゃんとオチを付けている。

子供時代のリンコのために“ニセ乳”を作ってあげる田中美佐子のサバサバした母親像に心動かされた。あと急逝したりりィの遺作ともなった。かつて『トッツィー』(1982年)で、“女性”になりきったダスティン・ホフマンに、「オスカー女優賞を!」の声が挙がったものだが、生田斗真も“主演女優賞”候補か。いや、意外とマジで。

 

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