兄・金正男の韓国亡命を弟・金正恩が「暗殺」で阻止か

兄・金正男の韓国亡命を弟・金正恩が「暗殺」で阻止か

WAGATSUMA / PIXTA(ピクスタ)

北朝鮮の故・金正日総書記の長男、金正男氏が、マレーシアで暗殺された。

韓国メディアが伝えたところによると、《2月13日午前、クアラルンプールの空港で2名の若い女に毒針で殺害された。女たちはタクシーに乗って逃走。マレーシア警察は、この二人は北朝鮮の工作員とみて行方を追っている》としている。その後、同警察が「死亡したのは金正男氏」と発表。警察当局から通報を受けた韓国政府も事実関係の確認を急いでいる。

金正男氏は同空港のショッピングセンターで体調不良を訴え、病院に運ばれる途中で死亡が確認されたという。当局者は「男性が空港で何者かに後ろから顔をつかまれ、めまいがしたために助けを求めた」と語った。

「金正男は、現在の北朝鮮で最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄です。儒教社会である北朝鮮では、長男の世襲が不文律であるため、後継者の最有力者だったこともあり、中国の対北朝鮮用の隠し玉として庇護を受けていました。暗殺の第一の理由は、韓国への亡命阻止です。なぜなら、彼は李明博政権時代に韓国に亡命を打診してきたことがあるのです。そして、最近再び亡命を打診したことから、北朝鮮側が韓国での傀儡政権樹立を阻止するため、殺害したのではないでしょうか。マレーシアは、北朝鮮高官らの亡命ルートの一つで、南北諜報機関が暗躍する地でもあります。第二の理由は、国内に潜む正恩の叔父で、すでに粛清された張成沢派が、中国諜報機関と連携してクーデターを画策していることが影響しています。その芽を摘んだのでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

過去には、2015年4月の玄永哲人民武力部長国防相の粛清、2016年12月の金養健統一戦線部長の交通事故死、金英哲副首相の解任と続き、つい先ごろは正恩側近の一人、金元弘国家保衛相も突然に解任されている。

「金元弘が正男と組んでクーデター直前だったという観測ももたらされています」(軍事ジャーナリスト)

それにしても韓国映画『シュリ』(1999年)のワンシーンを地で行くような暗殺劇だ。下手人は誰か。

「金正恩直属になった北の特殊部隊である『偵察総局』のアサシン(暗殺団)によるものでしょう。朴槿恵政権が、現在のように死に体になる前には、主要閣僚を狙ったことでも知られています」(同・ジャーナリスト)

すれ違いざまに、ストロー状の吹き矢から毒針を放って殺害する手法は、朝鮮半島では伝統的な暗殺術として知られる。北朝鮮がそれを実際に行ったことで、極東情勢は一気に動乱に進むのではと危惧される。

 

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