ナオミ・ワッツの薄幸さが光る映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

ファントム・フィルム配給/2月18日より東京・渋谷シネパレスほかで公開中
監督/ジャン=マルク・バレ
出演/ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツほか

『パツキン一筋50年』というバカ丸出しなタイトルの本を出すほどだから、パツキン女優に関してはチトうるさい。

だいたいがパツキンには長年、大柄グラマー、タフで強気、エロくて悪女みたいなイメージが強い。もちろん、そういうタイプは、当然どストライクなのだが、そのどれにも当てはまらない希有な例がナオミ・ワッツだ。

天下御免の、どパツキンで見事な美貌なのに、小柄感華奢感漂うし、タフで強気のキャラには縁遠く、セクシー悪女は全然似合わない。ズバリ“薄幸キャラ”濃厚で、ボクは勝手に“アメリカの木村多江”と呼んでいる。ハリウッドで活躍しているので、アメリカの、とつい書いてしまったが、彼女はイギリス生まれのオーストラリア育ちである。

オーストラリア時代の友人ニコール・キッドマンがハリウッドで先に売れたのに、ナオミは取り残されてドツボの苦節十ン年、もう夢破れて故国に帰ろうとしたことも幾度の過去が、彼女から漂う薄幸臭を醸造したのか。『キングコング』(2005年)のヒロインでやっとブレイクしたが、それでもなお付きまとう薄幸の影…がもはや彼女の個性となった感がある。絶叫しまくりの『ザ・リング』シリーズ、恋愛蟻地獄の『21グラム』、男運ナシの別居妻の『リチャード・ニクソンを撃った男』、自殺未遂アリの情緒不安定女の『スティ』、津波に襲われ散々な目に遭う『インポッシブル』、不審死した王妃役の『ダイアナ』など薄幸オーラ作品はナンボでも出てくるわい。

でも、最近少し変化が…。数年前の『ヴィンセントが教えてくれたこと』では、したたかでお下品なロシア人娼婦を演じて新境地、さらにこの『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』では、妻を交通事故で失ったショックで不可解行動を繰り返す男(ジェイク・ギレンホール)の、心の闇を照らす灯となるヒロインを演じて新鮮だった。本来なら、急死してしまう妻の役に起用されそうなものだが、自販機顧客担当者(要するにクレーム係)という役柄も珍しく、情緒面、経済面で悩んではいても、主人公よりは軽症で、薄幸度は低い。こんな前向きで、他人に好影響を与えるナオミも珍しい!

ボクは、パツキンは生命力の象徴だと信じているので、人間ドラマのタフなヒロインをアラフィフ(現在48歳)となってやっと開眼したかに見えるナオミ・ワッツの今後に注目したい。

 

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