金正男の暗殺理由は金正恩の実母の出自に原因がある?

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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男の殺害事件は、北朝鮮大使館職員らの関与が判明し、もはや国家的犯罪の疑いは拭いようもない。

「北朝鮮では過去に、大韓航空機爆破事件(1987年)が金正日総書記の指示で行われました。これは元工作員の証言からも間違いありません。また、日本人拉致事件についても金総書記の指令だったとされます」(北朝鮮ウオッチャー)

正恩委員長は、2013年に叔母の夫で後見人とされた張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清している。義理の叔父に続き実兄の殺害まで指示していたとすれば“権威失墜”に直結するのは避けられないのではないか。これまで北朝鮮では、正男氏の存在はほとんど知られていなかったとされるが、今回の件でついに国民の知るところとなるかもしれないからだ。

「韓国軍が南北軍事境界線付近に設置した大型拡声器で、『正恩委員長の指示により兄の金正男氏が殺害された』と、北朝鮮に向けて放送し始めたようです。いずれは北朝鮮国民の耳にも行き渡るでしょう」(同・ウオッチャー)

正恩委員長が兄の存在を隠し続けた理由、それは後継の正当性を演出するためだ。正恩委員長には、“長男”の正男とは違う“血”が入ってしまっているからだ。

 

正恩の母は北朝鮮で差別される対象だった

「正恩の母、高英姫(コ・ヨンヒ)は、日本に残っている帰国者名簿から、通名は高英子(コ・ヨンジャ:1952年6月26日生)であることが分かっています。帰国後は多くの在日帰国者がそうであるように、日本風の“子”を変えているのです。最高指導者の母は『国母』として偶像化されるのですが、北朝鮮では帰国者を『チェッポ』と呼び、差別の対象でしかありません。しかし、在日帰国者はむろんのこと、国民の半数は最高指導者の母親が帰国者であることを知っています。偶像化は困難を極めましたが、一方でチェッポと口にすれば、即強制収容所送りになります。そのため、国民は“王様の耳はロバの耳”と口が裂けても言えません。偶像化の過程では『偉大なる先軍朝鮮の母』という記録映画が大々的に配布されました。ちなみに、高英姫は万寿台芸術団所属の踊り子であり、日本で“帰国公演”をしたことがあります」(同・ウオッチャー)

正男は正恩委員長について「白頭の血(ロイヤルファミリー)ではない富士の血」と皮肉ったとされる。だがその真意は、「血統で国民を支配するのではなく、国を富ませることで支持されよ」と言いたかったのだろう。

 

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