中坊らしい「恥ずかしさ」が詰まった手帳

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル13【中一コース手帳】~

小学生から中学生に上がるときは、もう子供じゃないんだという自覚が芽生える時期です。それまで遊んでいた幼稚な玩具などは捨て、“大人”として新たな人生の一歩を踏み出す準備をするのが、小学6年生の春休みでしょう。

そのころの小学生にとって憧れの“大人”に変身するための2大アイテムだった“手帳”と“万年筆”を、セットでドド~ンとプレゼント!! という触れ込みで中学進学時期になると年間講読を煽っていたのが、旺文社の『中一時代』と学研の『中一コース』という、2大学習雑誌でした。

豪華なプレゼント目当てに講読予約を取るという商法は、いまでは新聞購読の勧誘に使われているくらいでしょうか。

私は“学習雑誌”であることを親に必死でアピールし、まんまと年間講読に成功。念願の手帳と万年筆を手に入れることができました。そして、真新しい学生服のポケットに入れて持ち歩き、大人の気分に浸ったものです。そんなことして粋がっていることがガキなんですが(笑)。

しばらく続いた手帳と万年筆のセットでしたが、時代とともに魅力的なものではなくなり、1980年代に入ると、その頃の流行だったミニラジオや簡易ミニカメラなどに移行していきました。残念ながらそれらもいまではまったく魅力的なものではありません。

アイドル写真の下に小さく英語のレッスンが入っているのが涙ぐましい

一貫して変わらなかったのが時流のアイドルを起用した宣伝でした。本誌も“学習雑誌”と名乗ってはいるものの、アイドルの情報や恋愛に関する悩み相談など、およそ“学習”とはかけ離れた内容でした。昭和51年に発行された手帳の中身を見てみると、やはりアイドル情報のオンパレードです。

中学~高校時代ともなれば、一番の興味は何といっても異性ですから、当然の編集方針でしょう。要するに『明星』や『平凡』などのアイドル雑誌を恥ずかしくて買えない、どちらかというとイケてない読者層を狙った、学習雑誌という建前を隠れ蓑にしたアイドル&恋愛指南雑誌だったのです。

私はそんな誌面が恥ずかしくて1年間講読予約したものの、半年くらいでほとんど読まなくなってしまいました。そして、アイドル文化の細分化が進み、多種多様なアイドル雑誌が誕生、漫画雑誌の表紙やグラビアはアイドルなのが当たり前となった1990年代に両誌は廃刊となりました。

恥ずかしさの塊のようなこの手帳を開くと、甘酸っぱく苦い思春期の思い出が鮮やかによみがえってきます。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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