見世物小屋のような「いかがわしさ」溢れる昭和の児童書

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル14【中岡俊哉の児童書】~

4月まであと1週間。フレッシュな気持ちで迎えたいものですが、4月1日は『エイプリルフール』です。最近は手の込んだウソをつくサイトが増えてきたので騙されないようお気を付け下さい。

騙される、といえば、私のような昭和40年代に幼少時代を過ごした人は、『中岡俊哉の児童書』にまんまと騙されたのではないでしょうか?

『世界怪奇スリラー全集③世界のウルトラ怪事件』(秋田書店/昭和43年)、『世界の怪獣』(秋田書店/昭和42年)

故・中岡俊哉氏は日本の超常現象研究のパイオニアともいうべき人物で、その分野ではあまたの名著とベストセラーを残しています。ところが、そんな彼が児童向けの本になると、まったくの荒唐無稽なウソを書くのです。実際に起きた事件に混じって、まるで見てきたかのようなウソを書くのですからたまりません。

まだ純真な子供だった私もすっかり騙されて、世界はとんでもない化け物が棲んでいて、想像を絶する怪事件が起きているんだな~っと心底驚いたものです。だって、ちゃんとした出版社から出ている箱入り上製本にまさかウソが書いてあるなんて思いませんでしたよ(笑)。

『世界の怪獣』より、時間・場所などドキュメントタッチで書かれているのがミソ

一流の研究者である彼が、なぜ、子供の本に限ってそんなウソを書いたのでしょう。どうやらその理由は彼の生い立ちにありそうです。

彼の祖父は明治時代の浪曲師・桃中軒雲右衛門。浪花節の黄金時代を築いた大物でした。若い芸者に入れ揚げ、かなりの借金を抱え込んでいたようで、芸道以外のことには頓着しない、破滅型芸人の典型のような人物だったそうです。中岡氏の体に流れる、この浪曲師の血が、児童書における、あの大道芸人的ともいえるサービス精神旺盛な描写につながったのかもしれません。

いま思えば、彼の本を読んだおかげで相当の妄想力が養われたと思います。そのことには感謝しています。

通信技術が発達し、世界中のリアルな情報が瞬時に入手できるようになった現在、子供に中岡俊哉氏の本を読んで聞かせても、一笑に付して終わりでしょう。しかし、“空飛ぶトラ”や“モンゴルの火吹き怪動物”はこの世から完全に消えたのではなく、そのDNAは都市伝説やCGを使ったインチキUMAの中に息づいているのです。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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