北朝鮮が史上初の外国人暗殺を目的に「乱数放送」再開

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昨年7月、イギリスの北朝鮮大使館から韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元公使を手助けしたとして、英米国籍のビジネスマン2人の暗殺指令が出ていると、イギリスの新聞サンデー・エクスプレスの電子版が伝えた。

同紙は《3月初頭、約8分間の北朝鮮の平壌放送のなかで暗号を伝達する手法で行われた》としており、脱北者の支援を得て暗号を解読したとのことだが、驚くべきことにこの指示は、金正恩朝鮮労働党委員長から直接発せられていたという。

「北朝鮮は、平壌放送が海外に潜伏する工作員向けの連絡手段に使う『乱数表』の放送を16年ぶりに再開したばかりです。放送の中で10分程度の間に女性アナウンサーが5桁の数字を次々と読み上げます。『○○ページ○○番、××ページ、△△番…』という具合に流すと、工作員は持参した番号表と数字を照らし合わせて指示内容を確認する。実にアナログ的な手法です」(北朝鮮ウオッチャー)

北朝鮮が乱数放送を多用していたのは1990年代までだが、なぜ復活したのか。

 

米中の監視をかいくぐるための乱数放送復活

「現在のデジタル時代に北朝鮮がアナログの乱数放送を再開したのは、金正恩が実兄の正男を何としても暗殺したいとの思いからです。また、アメリカや中国などの諜報機関の裏をかくためでしょう。米中は監視衛星を運用し、世界中の軍事通信や要人の会話を傍受しています。当然、正恩も自分が監視対象になっていることを知っています。乱数表の法則を解読されなければ、これらの監視網をかいくぐることができるのです」(公安関係者)

同紙は《北朝鮮国民以外が暗殺の対象になるのは初めて》だと指摘している。

「太永浩氏は、韓国内で海外メディアに向けて活発な対外活動を行っています。『北朝鮮は共産社会ではなく、奴隷社会にすぎない』と強調しているほか、金正恩政権を『正統性が不足している』、『統制システムが弱まっている』、『政策がない』と批判しています。また、『北朝鮮当局の政策に反発する住民の芽が伸びているが、この芽をもとに、今後民衆蜂起が発生することがあると思う』などと述べるなど、クーデターや住民蜂起が起こるかのような発言が目立ちます。そのため、太永浩氏の亡命をほう助した2人のビジネスマンにも、正恩の怒りの矛先が向いたのでしょう」(同・ウオッチャー)

乱数放送の目的は大きく分けて3つある。第一に実際に工作員にミッションを伝えるため。第二に韓国をかく乱するためにデマ情報を流す。第三に工作員の定期訓練。今回は本来の目的である「第一」で用いられたということだ。

 

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