出家した清水富美加が主演・腹黒JK描く問題作映画「暗黒女子」

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『暗黒女子』

東映配給/4月1日より丸の内TOEIほかで公開
監督/耶雲哉治
出演/清水富美加、飯豊まりえ、玉城ティナ、清野菜名ほか

この映画の知名度が急に増したのは、何と言っても主演格が前代未聞の“突然の出家騒動”で芸能界を騒然とさせたあの清水富美加だからだろう。かつて宗教団体に入信して芸能活動をやめてしまったアイドル歌手の桜田淳子だって、もうちょっと手順を踏んでいただけに、一躍“時の人”の映画となった。

主演不在のトラブル物件となり、一時は公開が危ぶまれたが、まあモラル的には問題でも別に不祥事を起こしたわけではないから、とゴーサインを出した配給会社は実に賢明。すっかり話題作、問題作に昇格した感がある。“悪名は無名に勝る”とはよく言ったものだ。

原作は秋吉理香子の小説。映画もラストで愕然、ボー然、こんなのアリ? みたいな後味の悪さでイヤな気分になること請け合いだ。でも、それが味であり、怖いもの見たさの“スリラー・ショー”気分でお勧めしたい。

 

流行の「キラキラした高校生」を描いた映画とは対局の作品

セレブな女子高校の屋上から落下し、謎の死を遂げた美少女(飯豊まりえ)。その真相を、清水をはじめとする文学サークル部員の各々が独自の視点を加えた朗読発表形式で語り始めるのだが、物語も動機も結末もバラバラで、という黒沢明監督の名作『羅生門』(1950年)を彷彿とさせるような展開となる。実はそろいもそろって全員嘘つきで、罠を仕掛け騙し合っていたのだが、まだその先があった、というドンデン返しがかなり刺激的で、タブーにも挑んでいる。

こういう過剰な映画に出るなんてもうイヤ、というのが清水の引退の際の主張のひとつだったが、そんなの、教祖様に一本釣りされたのであろう清水による“後付け”の理由のような気がするけど。

一見お上品な女子高の生徒ほど、ひと皮剥けばめちゃくちゃ腹黒で、とことん人でなし、おぞましい秘密まみれ、というこちらの先入観をこれでもかと具体化してくれる。もう“アンチJK(女子校生)映画”と呼んでも過言ではないね。共同主演の清水、飯豊まりえはもとより、玉城ティナ、清野菜名など“かわいい顔して考えるこたぁ、やるこたぁエグい”の面々がズラリ。最近はやりの“キラキラ高校生映画”とは対照的なテーマで、文字通り映画館の暗闇で観るのにふさわしい。若いって素晴らしいもいいけど、若いっておぞましい、というのもたまにはドーヨ。

監督の耶雲哉治は元『ももいろクローバーZ』の早見あかり主演で『百瀬、こっちを向いて。』(2014年)を撮った新鋭。アイドル女優を使って女子の暗黒面を引き出す演出が巧みで、それが今回も見事にハマった!

 

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