金正男氏は暗殺されたマレーシアで何をしていたのか

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アメリカ外交問題評議会の上席研究員が、同評議会のブログに《マレーシア政府は何のために正男氏を自由に出入国させていたのか…謎は深まるばかりだ》と記した。

「正男氏は、北朝鮮が金正恩体制への移行が明らかになった際に、自身の置かれた立場がすでに不安定になっていることを十分に分かっていました。彼はそれ以前、10年以上にわたり海外での生活を余儀なくされており、金正日の後継候補から外れたことを不憫に思った正日が、莫大な海外資金を与えています。2013年に粛清された叔父の張成沢(チャン・ソンテク)や正日の実妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)も、正男氏への経済的な援助を怠らず、絶えず連携していました」(北朝鮮ウオッチャー)

マレーシアは、なぜ正男氏の自由な入国を認めていたのか。北朝鮮は東南アジアのいくつかの国と外交関係を持っているが、マレーシアとは2009年にビザなしでの往来に合意している。また、正男氏は2014年ごろからマレーシアだけでなく、シンガポールにも頻繁に渡航と滞在をしている。そのため、中国系シンガポール人の愛人がいたとされるものの、その行方はようとして知れない。

 

正男氏はロイヤルファミリーの資金調達係だった?

「北朝鮮の工作員がミャンマーやタイで問題を起こしていたことは、マレーシア政府も知っていたはずです。上層部がよほどの媚薬を嗅がされていたと見え、正男氏の遺体とともに、殺害事件への関与が濃厚な北朝鮮大使館の二等書記官と高麗航空職員も、帰国させてしまいました。北朝鮮がマレーシアの北朝鮮駐在外交官家族を人質にするという暴挙に出たため、これに屈した格好になってはいますが」(同・ウオッチャー)

北朝鮮による非合法な事業に、正男氏が直接関わっていたのかどうかが謎を解くカギになりそうだが、どうやらマレーシア政府当局にその気はないようだ。

「単純に、ロイヤルファミリーの資金管理が正男氏の役目だった可能性もあります。派手に世界中を飛び回る生活の対極にあるのが、非合法事業の収益に対する各国政府当局の監視をすり抜けることに通じるのではないでしょうか。それが正男の“仕事”だったのでは」(同・ウオッチャー)

その資金を弟に狙われたのだろうか。

 

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