悪化する中韓関係と「親日派」安重根に執着する韓国の事情

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日本の初代総理大臣である伊藤博文を暗殺した、韓国の独立運動家の安重根(アン・ジュングン)。その事件があったことを示す、中国黒竜江省のハルピン駅舎内にある『安重根義士記念館 』の移転が決定したようだ。いまも“反日の象徴”として称えられる人物が、暗殺の舞台となったハルビン駅からいなくなることは、日韓中の3国間に影響を及ぼすほどの“大事”と言える。

「同記念館は、朴槿恵前大統領がいわゆる“告げ口おばさん”だった時代に訪中した際、習近平主席に設置を要請し、2014年に設置されたものです。館内は中国に208カ所もある『反日記念館』と展示内容はほぼ同じで、日本ではテロリストとされる安重根を英雄視した内容になっています」(国際ジャーナリスト)

しかし、韓国と中国のスタンスはここ数年で微妙に変わってきている。

「数年前に公開された旅順の日本刑務所跡には、安重根が1910年に処刑された死刑台が展示されていました。しかし、これは改装を理由に2016年秋から閉館されたままとなっています。“英雄”である安重根を風化させたくない韓国と、それに乗らない中国といった、立場の違いが明確になってきており、“蜜月”と言われた中韓関係は急速に冷え込んでいるのです」(同・ジャーナリスト)

 

日本でも韓国でも間違った認識をされている安重根

安は1909年10月26日に、初代韓国統監を務めた伊藤博文を、当時の満州のロシア権益地だったハルピン駅構内で射殺した人物だ。従って現在の韓国では、のちの朝鮮独立運動にもつながる抗日義士として崇められている。

一方で、日本においては、菅義偉官房長官が記念館建立の際に「テロリストである」との談話を発表した。しかし、その実像は日韓ともに的外れのようだ。

「安は『東アジア共同体』の論者であり、明治天皇を崇拝していました。日本政府が指摘しているようなテロリストでも、韓国が言うような『反日主義者』でもありません。安の未完の論文『東洋平和論』は、日中韓が手を結び、西欧列強と対抗しようという大アジア主義が示されているのです。そもそも安の父、安泰勲(アン・テフン)の時代の李王朝は、日本の明治維新に学ぼうとする金玉均、朴泳孝(日本名:山崎永春)ら親日改革派と、清国を頼みとする大院君ら親中保守派が激しく対立していた時代だったのです」(同・ジャーナリスト)

そのため、韓国はつい最近まで、安に“親日派”のレッテルを張り、評価していなかった。反日のために利用されてしまうのでは、安の魂は報われないだろう。

 

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