金正男氏暗殺に関与した者を待ちうける「無慈悲な末路」

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金正男氏暗殺に関与した北朝鮮の工作員らは、恐らく処刑され、もう生きていないだろう。韓国に侵入して破壊活動をしたり、同国の要人を暗殺したりといった対外的な活動ではなく、行ったのは極めて“内向き”の暗殺だからだ。

マレーシアの警察当局は、ベトナムとインドネシア出身のふたりの女性を殺人の実行犯として起訴し、犯行直後にマレーシアを出国した4人の北朝鮮国籍の人間は、重要容疑者として国際手配している。マレーシア居住で北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル氏は不起訴となったが、国外追放されて3月18日に北京経由で平壌に帰国した。

犯行直後にマレーシアを出国した北朝鮮国籍の4人は、ホン・ソンハク、リ・ジェナム、リ・ジヒョン、オ・ジョンギルの各容疑者だ。ちなみに、3月6日に国外追放された駐マレーシアの姜哲(カン・チョル)北朝鮮大使は、同月18日に一時滞在していた中国から、北朝鮮に戻ったという。

「2等書記官と高麗航空職員を含めた計7人の北朝鮮工作員は、所属部署でしばらくは労をねぎらわれるでしょう。しかし、正男氏暗殺のことを知る人間ですから、金正恩が生かしておくはずがありません。暗殺の指示系統が7人の口を通じて流れ出す危険性が排除できないからです。工作員の中には命の危険を感じ、脱北を図る者もいるかもしれませんが、監視が厳しいのでそれも難しいでしょう」(軍事ジャーナリスト)

 

大使であろうとも処罰からは逃れられない

姜大使の命も危ない。同大使は少なくとも10日間余り、北京の北朝鮮大使館に滞在していたことになるが、その間、平壌から派遣された北当局者に尋問されたであろうし、中国関係者とも接触したはずだ。

「それら尋問などの中身が漏れ伝わることはありませんが、姜大使には、北京経由でそのまま帰国できない事情があったのだろうと推察されます。駐英北朝鮮公使を務めていたテ・ヨンホ夫妻が脱北し、韓国で盛んに北朝鮮批判を繰り広げている折でもあります。恐らく正恩は、大使の動向に神経質になっていたのでしょう。金ファミリーの暗殺実行者も後日、犠牲者と同じように処罰されるでしょう。共産主義社会の掟です」(北朝鮮ウオッチャー)

職務に忠実であっても、不正を働いても待っているのは死だ。何と恐ろしい国だろうか。

 

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