平和の象徴として拝みたくなる「昭和のアイコン」的科学玩具

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル22【水飲み鳥】~

4月29日は『昭和の日』です。2007年に制定されたばかりの祝日で、激動の時代を生き抜いた昭和天皇の誕生日です。

“昭和”と聞いて、まず私が思い浮かべる玩具が今回ご紹介する『水飲み鳥』です。1960~1970年代にかけてアイデアショップなどで売られていました。特に60年代は流行となり、あちこちの喫茶店やショップのショーウィンドウなどで見かけたものです。

シルクハットをかぶり、ダチョウのように首と脚が異様に長い、ユニークな鳥の恰好をしています。脚の付け根を軸にして、長い胴体部をシーソーのようにユラユラと揺れ動かしながら、コップにくちばしをつけて水を飲む動作を繰り返します。

くちばしについた水が蒸発するときに気化熱が発生します。その時に生じる、わずかな温度差を利用して、冷やされたり温められたガラス内の液体(エーテル)が巧妙な仕組みで鳥の中を上下し、水を飲む動作をするのです。動力がないのに、水さえあれば半永久的に動くこの鳥が不思議で、子供のころ、ショーウィンドウの前でまじまじと眺めていたものです。

ところで、この玩具、またの名を『平和鳥(ハッピーバード)』といいます。

なぜ『平和鳥』なのかというと、昭和24年、広島にある平和化学という会社の平田さんがこの画期的な玩具を考案したからだそうです。原爆を投下されて悲惨な目に遭った広島から、世界の平和を願ってこのような楽しい玩具が作られたと思うと胸が熱くなります。そういえば、1946年に平和な未来を願って発売された、昭和を代表するタバコ『ピース』のシンボルマークも鳥でした。

この“平和”という名前が冠せられた玩具は、今でも製造され続けていて、世界中の人がネットで買うことができます。

最近、きな臭いニュースが多くなってきましたが、この鳥が世界のどこでものんびり水を飲んでいられる世の中であってほしいものです。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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