競馬ファンは必見!夢の単勝転がし「一攫千金」映画

映画評論家・秋本鉄次が往年の名作傑作を探る『昔の映画が出ています』

作品目『のるかそるか』

アメリカ/1989年
監督/ジョー・ピトカ
出演/リチャード・ドレイファスほか

本格的な競馬シーズン到来で、天皇賞、オークス、ダービーとこれから目白押し、というわけで競馬映画をチョイス。名馬や名騎手などの作品よりあえて“馬券映画”を選んでみた。大勝負を検討中の方に霊験あらたか(?)、実に縁起のいい映画だからだ。映画史には残らないだろうけど、競馬好き、競馬好き予備軍必見!

まず主人公のタクシー運転手、トロッターを演じるリチャード・ドレイファスがイイ。十年一日のごとく競馬場に通う典型的な市井のギャンブル好き。ボクも似たような者なので、愛着が湧くね。女房を愛しているが、競馬はそれ以上に好き。この日も競馬場に直行というバチ当たりぶり。思い込んだら一直線。人気薄の馬の“単勝転がし”に迷わず突入するあたり、小心者のボクにはマネできないなあ。ちなみに彼の女房役のテリー・ガーとはSF大作『未知との遭遇』(1977年)でも夫婦を演じている。“肌が合う”ってヤツね。

人には一生に一度ぐらい“人生最良の日”があるもの。主人公トロッターの場合はこの日だった! 飛び込みの第1レース、客の密談から極秘情報として、8戦連続負けで人気薄の4番馬が今度は激走するのだ、と信じて、なけなしの50ドルを突っ込む。便所で神様に祈る彼に、奇跡か神がかりで写真判定の末、見事1着! 約700ドルをせしめ、“今日はついてる”と確信してしまう。次のレースも穴馬にブチ込み今度も1着! こうなりゃもう怖いもんナシ。その後もバリバリ勝負して、バリバリ的中、ついには7万ドル近くにまで膨れ上がる馬券バブル状態。

最初は彼を小ばかにしていた馬券売り場の太っちょオヤジも彼の度胸に感服して、最敬礼。VIP席にも通され、美女にも言い寄られ、ついには競馬場全体が彼の馬券に注目し始める。さあ、最後の大一番、50ドル馬券1300枚の単勝勝負は、邦題通り、のるかそるか? テンションMAX!

 

「もしこの有り金がパアになったら?」と聞かれて返す名台詞

これは、競馬ファンの心を躍らせる映画だ。写真判定の結果に祈るような仕草、大金を手にして踊るように場内を歩く姿には、僕は限りなく親近感を抱くね。ガードマンに、もしこの有り金がパアになったら、と聞かれ、「どうってことないよ。もうエビ料理も食べた。女房にダイヤを買えた。友人の借金も払えた。窓口のオヤジとも知り合いになれた。それで十分さ」と達観して答えるのだから立派。

石原さとみのお酒のCMのキメ台詞じゃないけど「男だねえ」。大勝負はオトコをデカくする! 競馬で夢見る春にうってつけ。さあ、競馬好きがバイブルと崇めるこの逸品で景気づけだよ、お客さん。

 

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