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北朝鮮は金正恩委員長時代の5年目を迎えたが、いまだに北京を公式訪問していない。北朝鮮の最高指導者が就任後に中国を訪れないということは、これまで一度もなかった。
ただし、朝日新聞は、2009年6月16日と18日の2回にわたり、一面記事で、《北最高指導者・金正日労働党総書記の後継者に決定した三男の正恩氏が、同月10日ごろ中国を極秘訪問し、胡錦濤主席と会談した》と報じたことがある。
「これは報道直後に、北京外務省と北朝鮮側から『作り話』だと一蹴され、会見内容も完全否定され、赤っ恥をかいています」(北朝鮮ウオッチャー)
朝日新聞の大誤報があった2009年は、中朝の国交樹立60周年だったことから、中朝友好年を記念した切手シートが発行されている。図柄には、いまは亡き正日総書記が写った2パターンの写真が使われており、当時の中国の江沢民前国家主席と写ったものと、胡錦濤国家主席とのものがある。
正恩時代になって中国に「噛みつく」ようになった
「金日成―金正日時代の両国関係は、基本的には友好関係を維持していました。飛行機嫌いの正日総書記は、平壌から特別列車で北京を訪問し、活発な経済活動をする中国企業を視察する旅にも出ています。
中朝は、反帝国主義の戦いのなかで手を携え、血で固めた偉大なる友誼を形成してきたとされ、歯と唇の関係を謳歌してきましたが、正恩登場以来、歯が唇に噛みつくようになったのです。その意味では『中朝友好年記念切手』は古きよき時代、日本にとってはいいことではないですが、そんな時代を彷彿とさせます」(同・ウオッチャー)
正恩委員長は、北京と密かに連携していた叔父の張成沢(元国防委員会副委員長)と、兄の正男氏を消し去った。さらには、中国の意に反して核実験やミサイル発射を繰り返し怒りを買ってもいる。その結果、首脳会談は実現できずにいる。
正恩委員長と中国の習近平国家主席の首脳会談がいつ実現されるか不明で、あるいはこのまま実現しないという可能性もある。もちろんそれは、正恩が消されることを意味するのだが…。
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