カーチェイス映画ブームを起こしたS・マックイーンの代表作

映画評論家・秋本鉄次が往年の名作傑作を探る『昔の映画が出ています』

作品目『ブリット』

アメリカ/1968年
監督/ピーター・イエーツ
出演/スティーブ・マックイーンほか

ゴールデンウィーク最大のカーアクション大作『ワイルド・スピード アイスブレイク』の公開に呼応して、半世紀近く前、カーチェイス映画ブームを巻き起こしたスティーブ・マックイーンの代表作の1本であるコイツはどうだ。その後に続く『ダーティハリー』、『フレンチ・コネクション』(共に1971年作)とともに、この時代の“3大刑事アクション映画”と呼ばれたものだ。

僕も十代のころ観て大興奮したことを、昨日のように思い出す。映画誌『スクリーン』の海外男優人気第1位に選ばれたのもこのころだ。

マフィア撲滅の名を借りて権力を握ろうとする野心家の政治家に利用された刑事ブリットが、執念の捜査で悪を暴く。この政治家を演じるのが、かつて『荒野の七人』(1960年)でレツを組んだロバート・ヴォーン。と、まあストーリーはともかく、マックイーンのカッコよさったら最高で、それを楽しむ映画でもあった。タートルネックにホルスターの拳銃といういで立ちが、それまでの刑事のイメージをブチ破るもので斬新だった。そして、スピードマニアのマックイーンらしく、猛烈なカーチェイスが売り物!

 

CGのないアクション映画のかっこよさ

かつての『大脱走』(1963年)の伝説のオートバイもそうだが、スタントマンを使わずに自分でハンドルを握るのは当たり前のマックイーンだった。CGなんていう便利なものはなかった時代だから。坂の街サンフランシスコで大きく車をバウンドさせて繰り広げられるブリットのカーチェイス。当時の宣伝コピーで“めまいを起こす!”と謳われたように、最後は敵の車がガソリンスタンドに突っ込み大炎上するシーンまで、子供心に「すげえ!」と思ったものだが、何年か前に見返したら、当時のような興奮は正直言って少なかった。あまりにも派手な特撮に慣らされたのか、カーアクションが“かわいく”映った。

それでも、あれはマックイーンが本当に運転しているんだ! と思うと愛着が沸いた。彼のカッコよさは不変だった。その後、1980年に50歳の若さで他界するまで、最高のアクション・ヒーローだった。ラスト、鏡に映る自分の顔に見つめるマックイーンの姿が忘れられない。

そして、女優で映画を見る者として、哀愁の恋人を演じるヒロインのジャクリーン・ビセットも「世の中にこんなキレイな女優がいるのか」と心奪われたものだ。マックイーンとビセット、極論すれば、カッコいい男と凄くいい女がいるだけで映画は成立する!

 

【あわせて読みたい】

※ 競馬ファンは必見!夢の単勝転がし「一攫千金」映画

※ ブルース・リーの師匠の波瀾人生を描く映画「イップ・マン」

※ 絶品裸体にも注目!? 「攻殻機動隊」ハリウッド版が日本上陸

※ シリーズ第8弾「ワイルド・スピード」家族崩壊&技術攻防戦!

※ 暗殺のJFK未亡人をN・ポートマンが好演する映画「ジャッキー」