台湾で激しさを増す「親中国派」と「親米親日派」の激突

J BOY / PIXTA(ピクスタ)

台湾の烏山頭(うさんとう)ダムの建設に貢献した日本人、八田與一(はった・よいち)氏の銅像の頭部が切り落とされるという事件が起きた。

台湾は現在、2つの勢力に分かれている。親日親米派で、日本が台湾を統治する以前から台湾に移住して定住していた人々と、その子孫からなる“本省人”と呼ばれる勢力。そしてもう一方は、中国大陸で毛沢東の率いる中国共産党との内戦に敗れ、台湾初代総統で国民党の最高指導者となった蒋介石とともに台湾に移住した人々と子孫の“外省人”と呼ばれる勢力だ。

台湾にもともと居た本省人(民進党)出身の政治家には李登輝、陳水扁らがいる。外省人(国民党)の政治家では蒋経国、前台湾総統の馬英九。そして、現在は蔡英文(民進党)が女性総統の地位にある。

ちなみに台湾の先住民としては、運動能力に優れたアミ族が東部に多く住んでいる。アミ族出身スポーツ選手を挙げれば、日本プロ野球の巨人に所属する陽岱鋼、かつて中日ドラゴンズで活躍した郭源治など多士済々だ。

そして、八田與一氏の銅像が破壊されたことを受けて、蒋介石の銅像の頭部が切り取られる事件が起きている。

日本と中国の代理戦争の様相を呈する民進党と国民党の闘争において、破壊された蒋介石像の台座には《国民党が住民弾圧した2.28事件の元凶、殺人魔》と落書きがされていた。“2.28事件”とは何か。

「台湾に逃亡した蒋介石は、台北を勝手に“中華民国首府”と名付け、台湾人をすべて一方的に中華民国民とし、1947年2月28日に発生した“2.28事件”を皮切りに軍事的な熾烈を極める弾圧、そして38年間にわたる戒厳令により約10万人の台湾人を殺害し独裁政権を敷いたのです」(国際ジャーナリスト)

八田與一と蒋介石像の破壊より少し前にも、ちょっとした騒動があった。仕掛けたのは親中国派の野党国民党の幹部だ。

 

密かに独立の気運が高まりつつある台湾

「主に日本からの寄付金を元に、昨年70年ぶりに再建された台湾南部の神社を巡り、中国寄りの国民党幹部が『日本人によって台湾先住民が多数戦死した台湾出兵の地に日本の神社を建てるとは何事だ』と、与党の民進党に対して批判の声を挙げたことが現地で話題となったのです。当時、陸軍特別志願兵制度(海軍は別)が施行されると、1942年の第1回の応募には1000名の定員に対して、42万5961名(台湾青年の14%)の志願者が応募しました。第2回には同じ定員に対して、60万1147名が応募しています。同じく日本統治下の朝鮮も同じでしたが、朝鮮出身の洪思翊(ホン・サイク)陸軍中将(戦犯として処刑)の親族は、戦後の韓国で“売国奴”呼ばわりされていますが、台湾は旧日本軍出身者にそれほどの差別はしていません。これは、中国側が言っている批判と同じ内容です」(同・ジャーナリスト)

昨年1月に台湾(厳密には中華民国)の総統に当選し、5月に就任した蔡英文率いる『民主進歩党』は、その綱領に“台湾共和国の創建”を謳っており、親米と親日よりの与党だ。現状は多くの国と国交を結んでいないだけで、国家としての機構、例えば中国にはない総統選挙(中国には主席選挙も議員選挙もない)は整っているので、独立の機が熟すのを密かに待っているということだろう。

 

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