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北朝鮮の金正日総書記にかつて、亡命説が流れたことがある。
「金正恩朝鮮労働党委員長の父である金正日総書記は、その父の金日成主席の死去後、3年間の喪が明けた1997年4月に、ジュネーブの4億円を超える大邸宅を購入しています。当時の西側情報機関は、『金正日ファミリーの亡命先』と分析しました」(北朝鮮ウオッチャー)
王子様として宮廷社会に生まれ、外部世界から隔離された世界に生きてきた正恩委員長にも、今後にアメリカと敵対し続けるようであれば、亡命しか道がないのではないかといわれている。
「少なくとも正恩は、粗野だがバカではないことは確かです。しかし、いくら独裁者でも、自由になる資金が枯渇すれば、ファイティングポーズを取れません。中国の習近平主席は、トランプ米大統領との首脳会談後、国内経済の発展を最優先し、大統領の意向に沿って対北朝鮮の制裁に乗り出しています。その結果、北朝鮮では電力や運送、炭鉱、鉱山、農場などはほとんどが稼動停止状態に陥っています。ただし、対北制裁で頼みの中国共産党内には、習主席の政策を批判する“親北派”がいるため、習主席がどこまで制裁を貫徹できるかは不透明な部分もあります」(在日中国人ジャーナリスト)
経済制裁された北朝鮮の現在の資金源は?
北朝鮮国内の経済が停止せざるを得ない状況のなかで、正恩委員長は1発数百万ドルはするスカッドミサイル(地対地ミサイル)や、3000万ドルもするといわれるムスダン(中距離弾道ミサイル)を30発以上も発射した。その資金はどこから調達しているのか。
「朝鮮人民軍が武器輸出などで稼いだ資金を上納する“忠誠資金”と、正日時代から確保してきた麻薬密売、通貨偽造、偽造タバコ密売等をつかさどる党直属の『38号室』、『39号室』の“首領資金”が正恩政権を支えています。しかし、直近の北朝鮮経済は、これら資金と住民経済の乖離が進んでいます。国際社会の経済制裁は、首領資金に的を絞っているため、北朝鮮国民の生活には改善の兆しが少し見えるものの、いまや正恩の“財布”は枯渇しているのが現状です」(前出・ウオッチャー)
資金が無くなれば党や軍の幹部もソッポを向くだろう。これが、正恩委員長が亡命せざるを得なくなるだろうという予測に繋がっている。
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