子供憧れのスター「水生昆虫」が夢の競演

「元祖クールジャパン」再検証

~ファイル29【アマダ ザリガニ水生昆虫シリーズ】~

田んぼに水が入る季節になりました。農薬などの影響によって環境が激変してしまった現在と違って、昔は田んぼにザリガニやカエル、そしてゲンゴロウなどの水生昆虫がいっぱいいました。

それらの水生昆虫と池などで遊べた人は実に羨ましい。自然に生きている水生昆虫、特にタガメやゲンゴロウを見たことがなく、『昆虫図鑑』に描かれた姿(下図参照)を、うっとり眺めるしかなかった子供も多かったと思います。

小学館の学習図鑑シリーズ『昆虫の図鑑』(初版1956年)より

そんな水生昆虫に憧れる子供たちの心をギュッとつかんだのが、今回紹介するアマダの『ザリガニ水生昆虫シリーズ』です。

20円を払って小袋を買うと、なかに水生昆虫の写真が印刷されたシールが数枚。“当たり”が入っていたらシールを貼る台紙帳がもらえます。この台紙には水の中の様子が描かれており、そこに水生昆虫のシールを貼ることで絵を完成させます。子供たちは何とか昆虫をそろえて絵を完成させようと、何枚もシールを買うことになるわけですね。

駄菓子屋にいながらにして、昆虫採集しているような楽しさを味わえるし、台紙には昆虫のデータが書かれているので、学習教材の要素もあるという優れもの。同時期に人気だった類似商品に、講談社が1978年に発売した『ワールドスタンプブック 怪獣の世界』があります。

われわれの世代はこんなふうに駄菓子屋で昆虫と親しみましたが、現在の子供たちは巨大ホームセンターのペット売り場で、これらの昆虫と親しんでいるようです。そのエグい価格を見ると、20円で買えたチープなシールの方が夢があったんじゃないかな、と思います。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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