サッカーJリーグの浦和レッズに所属する森脇良太が、5月4日の鹿島アントラーズとの試合中に、鹿島の選手に対し「口がくさい」と発言した件で、Jリーグは森脇を2試合出場停止の処分を下した。一応の決着がついたのだが、いまだに森脇と浦和に対しての批判の声は沈静化していない。
その理由として、森脇が過去にもそうした言動を行っていたという、鹿島の小笠原満男やレオ・シルバの証言や、森脇の言い分に食い違いがあったことが挙げられる。
鹿島側の主張を要約すると次の通りだ。
《森脇選手がレオ・シルバ選手に「くせえな、お前」と発言した》
《小笠原選手が「おまえだけは入ってくんじゃねぇ、ボケ」と発言した事実はなく、森脇選手が嘘をついている》
《森脇選手は過去にカイオ選手やダヴィ選手にも同様の発言をした》
一方、浦和側の主張は以下の通りだ。
《森脇選手は小笠原選手に「おまえだけは入ってくんじゃねぇ、ボケ」と言われたので、「口がくさい」と言い返したのみ》
《森脇選手はレオ・シルバ選手には何も言っていない》
《小笠原選手は嘘をついている》
このように、明らかに違いが見られるのだ。
だが、インターネット上では森脇の証言に嘘があったことや、森脇が鼻をつまんでいたこと、同僚の那須大亮が森脇に「お前が悪い」と断罪している動画が投稿され、浦和と森脇の意見が違うことが明らかになっている。このことを知っているサポーターが処分に納得していないのだろう。
浦和は過去に「無観客試合」も
浦和は過去にも、こうした暴言や差別的な行動を行っている。2010年5月15日のベガルタ仙台戦で、元北朝鮮代表のMF梁勇基に対して数名のサポーターが人種差別的な発言を行い、けん責と制裁金500万円が科されていることも、さかのぼって問題視された。当時の村井満Jリーグチェアマンは、こうした体質が改善されなければ、勝ち点の減免やJ2への強制降格も視野に入るとまで言及していた。
また、2014年3月8日に埼玉スタジアムで行われた浦和対サガン鳥栖で、浦和のサポーターグループの一部男性が《JAPANESE ONLY》と書かれた横断幕を、ホーム側のゴール裏スタンドのゲート入り口に、ピッチとは反対方向へ向けて掲出した。Jリーグ側は横断幕が“日本人以外お断り”を想起させる、差別的な行為であると認定。これを取り除かせなかったクラブ側も、差別的な行為に加担したことになると判断して、けん責と、現時点でもJリーグ史上で唯一となる無観客試合の開催という制裁措置を浦和に課した。
浦和は2014年の制裁に対して、「差別の根絶を行う立場でありながら、深刻な事態を引き起こした」、「今回の事案を機会に生まれ変わる」、「差別的な発言と行為を撲滅していく」と表明し、これを徹底するために専従職員を置いたのだが、今回の“事件”は選手が起こしてしまった。
国際サッカー連盟(FIFA)は、2013年総会で“反人種差別・差別に関する戦い”を決議。加盟する各国協会に対して、ガイドラインを提示している。これを受けた日本サッカー協会(JFA)も、同年11月に規定を整備し、Jリーグのクラブをはじめとする加盟団体に対して、周知徹底をさせてきた。
それが浦和では徹底されていなかったと言われても仕方ないと言える。
Jリーグはこうした事例を根絶する立場であるならば、徹底した調査と過去の事例と照らし合わせて厳正な処分を下さないと、イメージダウンにつながるだろう。
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