『元祖クールジャパン』再検証
~ファイル32【スモーキング・モンキー】~
5月31日は『世界禁煙デー』なのだそうです。喫煙者にはなんとも肩身の狭い日ですね…。今回はそんな日にピッタリな玩具を紹介しましょう。『ヌードマッチ』の回で記したように、1960~1970年代の成年男子の喫煙はごく当たり前でした。そんな時代にはやった奇妙な駄玩具『スモーキング・モンキー』です。
あぐらをかいて座っている高さ約4センチの人形の猿の口に、タバコをくわえさせて火を付けると、何とビックリ、猿が数秒ことにプカ~ッ、プカ~ッと煙を吐き出すのです!
まるで生きた猿が本当に煙を吸って吐いているかのようです。ところが、猿はただのポリエチレン製のチープな人形です。何の仕掛けもありません。
実はタバコのところどころに瞬発的に煙を噴出する火薬が入っているのです。つまりタバコ自体が一種の花火なのですね。火が進んでいくと数秒のタイムラグで火薬に火が付き、煙が出るのであたかも猿がタバコをふかしているように見えるのです。
ですから、本体は猿である必要はありません。中村産業からは『煙出し戦車』(1971年/50円)という、この煙を戦車の砲煙に見立てたプラモデルが売られていました。
でもやはり、この何とも言えずとぼけた顔をした猿が一番の適役だと思います。
猿は一度オナニーを覚えると死ぬまでやめない、とよく言われていますが、おそらくこの玩具を考案した人は、そんな猿のイメージを“喫煙常習者”に重ねたんじゃないでしょうか。
タバコがやめられないという人も、この玩具をじ~っと眺めていると、自分が猿と同じに思えてきてやめたくなるかもしれません。
(写真・文/おおこしたかのぶ)
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