「男節」の名人R・アルドリッチ監督が描いた名作アメフト映画

映画評論家・秋本鉄次が往年の名作傑作を探る『昔の映画が出ています』

作品目『ロンゲスト・ヤード』

アメリカ/1974年
監督/ロバート・アルドリッチ
出演/バート・レイノルズほか

先ごろ、ラグビー日本代表がニュージーランド代表(通称オールブラックス)と来年11月3日、日本でテストマッチを行うと発表した。両国の対戦は5年ぶりで、日本は前回も大敗し、まるで歯が立たないのだが、2019年のラグビーワールドカップ日本開催へのアピールも兼ねてのもの。野球大好き人間のボクなので、ラグビー映画の傑作と言われてもすぐには思い付かないが、アメリカンフットボールならこの映画が即刻、浮上した。

名誉欲丸出しの刑務所長のキモ入りで作られたアメフトの看守チームと、その引き立て役に急遽かき集められた元アメフト選手ポール(バート・レイノルズ)ら囚人チームとのバトルを描いて、もう血が騒ぐ、心が躍る最高ランクのスポーツ映画である。

アメフトにゃほとんど素人の囚人たちの参加理由が奮っている。「看守を思いっきりブッ飛ばせるからいい」、「あのいけすかない所長のハナをあかせる」などなど、その“不純な動機”が素晴らしい。

 

男の「心意気」が十分に楽しめる

アルドリッチ監督は硬派男性娯楽映画の申し子のような人で、『特攻大作戦』(1967年)、『北国の帝王』(1973年)などでも存分に発揮された。一方、女性映画も意外と得意で、女子プロレス映画『カリフォルニア・ドールス』(1981年)は大傑作だったが、結局これが遺作となり、1983年に65歳で肝臓ガンで死した。

ずっとごひいき監督のひとりで、そんなアルドリッチの“男ブシ”が大炸裂。近年、CGなどの導入で映像のデジタル化が進み、アクション映画のキモである“心意気”の描写が疎かになり、仏作って魂入れず状態になっている。この映画にはそんな心意気野郎がワンサカ出てくる。

若いころ所長を殴ったおかげで、この刑務所の沼地の作業所の番人として長年“飼い殺し”にされているジイサマは『後悔なんかしちゃいねえ。人間、いずれどっかで死ぬんだ』、別の囚人も『所長にだって俺たちのキン○マまでは奪えねえ』と素敵にほざいてくれる。

そんな彼らの心意気が、危うく卑怯者になりかけた主人公を目覚めさせ、クライマックスの試合へと突入してゆく。このあたりの気分は、先月死去した政治家・与謝野馨の祖父で詩人・歌人だった与謝野鉄幹が詠んだ言葉にちなめば、『六分の侠気、四分の熱』というものに近い。

主演のバート・レイノルズは1970~1980年代を代表するタフガイだったが、後年は“あの人は今…”状態。それでも『ロンゲスト・ヤード』は色あせず、いま見ても理屈抜きに面白い。

2001年にアメフトをサッカーに変え、ジェイソン・ステイサムらが出演した『ミーン・マシーン』はこの映画のリメークで、こちらも奮闘しているが、やはりアルドリッチ版には及ばなかった。

 

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