信教の自由を認めない中国共産党が「バチカンの権威」を狙う

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バチカンと中国は1951年に国交を断絶している。その結果、両国間には『司教任命権問題』と『台湾の承認問題』の問題が未解決のまま残されている。

司教任命権問題についてバチカン側は「司教の任命権はローマにある」との立場を繰り返し主張しているが、一方の中国側は「司教の任命は内政問題」として、バチカン側の干渉を拒否している。

また、台湾の承認問題については、中国はバチカン側に台湾との国交断絶を要求するなど、司教任命権問題とは真逆な内政干渉を行ってきた。

中国当局は、ローマ法王に忠実な国内の聖職者を迫害し、それらを逃れて地下に潜伏した教会の摘発を過去に繰り返してきた。その一方で、1957年に創設された中国共産党政権の官製聖職者組織といえる『愛国会』は、バチカンの認可を無視して、中国共産党政権の領導に隷属する多数の新司教を選出してきた。

こうした暴挙に対し、ベネディクト16世(第265代ローマ教皇)は当時、強い“遺憾の意”を表明してきたが、総じて歴代法王は中国共産党に対して無知だ。それにつけ込むのが中国の常とう手段なのである。

 

中国国営テレビによる偽装工作も

「中国には愛国会所属信者が約500万人、地下教会所属の信者数も同数の500万人と推定されています。また、中国国営テレビは最近になって、国内でカトリック教会が拡大してきていること、特に青年層においてカトリック教会に惹かれる傾向が見られると報じています。しかし、『これは偽装だから、バチカンは騙されるな』と、警鐘を鳴らす陳日君(チェン・リージュン)名誉司教のような聖職者もいるのです」(在中日本人ジャーナリスト)

バチカンは聖職者不足の折、ローマ法王が愛国会所属の司教たちを追認するケースが目立って多くなってきた。そんな中で飛び出したのが、香港教区司教の湯漢(トーン・ホーン)枢機卿が教会新聞の中で述べたひと言だ。

「司教の任命問題で北京とバチカンがまもなく合意に達し、今後、愛国会が選出した司教は、信者たちの承認を受けたあと、ローマ法王にその追認を求めるというプロセスになるだろうと述べています」(同・ジャーナリスト)

“侵略”と“布教”は、いまの時代でも、なお論争の原因になっていることを見過ごしてはならない。

 

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