南原清隆に関する考察その2…スベリの名物化と人格で“国民的おじさん”へ

南原清隆 

画/彩賀ゆう  (C)まいじつ 

『ウッチャンナンチャン』南原清隆という存在を語る上で欠かせないのが、2011年に始まった『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)。同番組は3月に放送10周年を迎えるが、実はスタート時には、わずか半年での打ち切りが囁かれていた。

「同番組が始まったのは、あの東日本大震災が起きて2週間ほどしか経っていなかった3月28日。当時、日本は自粛ムードや〝不謹慎警察〟の言論が幅を利かせていて、番組は『こんなことをしている場合か』などと猛烈な批判を浴びていました。視聴率も2%台と深夜番組レベルで、放送直後から早くも、半年での打ち切り説が報じられる有様だったんです」(テレビ誌記者)

しかし、嵐の船出も徐々に順調な航海へ。『笑っていいとも!』、『ライオンのごきげんよう』(ともにフジテレビ系)といった人気番組を続々となぎ倒し、気付けば南原は〝日本の昼の顔〟になっていた。南原ブレークのきっかけ『お笑いスター誕生!!』(同系)の審査員をタモリが務めていたことを考えると、30年越しの壮大な下剋上ドラマとも言えるだろう。しかし、国民的番組を打ち負かせたにもかかわらず、南原は「立ってるだけで『いいとも』を終わらせた男」と言われ、あまりその司会力は評価されなかった。

「連日生放送するとあって、同番組では南原の司会力のなさが丸裸にされました。キラーパスとなる芸人殺しの雑なフリや、的外れなボケで妙な空気になることはしょっちゅう。とんでもないシーンが頻繁にお茶の間に流れることになりました」(同記者)

天性の“憎めなさ”で気付けば頂点へ…

しかし、これが徐々に話題となり始め、次第に番組の名物と化していったようだ。

「こうしたくだりの最大の特徴は、南原本人に全く悪意がないということ。本人はあくまで、番組を盛り上げようという一心でやっているのです。普通なら〝裸の王様〟となりそうですが、南原は天然で人格が暖かいため、厳しい声を浴びることはない。むしろ、視聴者・出演者共に、南原の不手際を待ち望んでいる風潮さえあります」(お笑い評論家)

実際、ネット上を見ても、南原を「無能」などと評する声は多かれど、本気で叩いたりヘイトするような書き込みは見受けられない。皆、心のどこかではこれを〝南原らしさ〟だと捉え、全て含めて1つのパッケージとして楽しんでいるようなのだ。

「この憎めなさこそ、南原が〝お昼の顔〟として君臨できた理由でしょう。南原は悪く言えば威厳がありませんが、良く言えば『とんねるず』、『ダウンタウン』、ビートたけしのように、下を威圧したり毒づいたりすることがなく、柔和でとっつきやすい。まさに、旧昼の顔だったタモリのような〝愛され要素〟を持っている〝国民的おじさん〟なのです。芸風に毒がなく、不快さがないため安心して視聴でき、大御所で高い知名度も誇っている…視聴者・スタッフ双方のニーズを安定して満たしてくれる、これが南原の強さと魅力でしょう」(同評論家)

マイペースに我を貫いた結果、気付けば屈指の名司会者になっていた南原。その手法や経緯の特異さを考えても、やはりこれほど興味深い存在はいない。

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