ニート生活の若い女性を門脇麦が演じた映画「世界は今日から君のもの」

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『世界は今日から君のもの』

アークエンタテインメント配給/7月15日より渋谷シネパレスほかで全国公開中
監督/尾崎雅也
出演/門脇麦、三浦貴大、比留川游、マキタスポーツほか

門脇麦という若手女優を知ったのは、2014年の『愛の渦』という映画だった。“奥手だけど実は淫乱”という女子大学生を演じ、乱交パーティーで豹変、そのオールヌードも辞さずの熱演にブッ飛んだ。こりゃ面白い新人女優が出てきたな、とほれぼれ。ちょっとファニー・フェイスな個性派美人ぶりもナイスだった。めでたくこの年のキネ旬新人女優賞を獲得した(もちろん、私も一票!)。

以後、ちょっとふわふわした捉えどころのない役を演じさせると、若手では天下一品。麦という名前も個性的でいい。僕は勝手に、きっとご両親が麦酒(ビール)好きだから、子供に麦と付けたのかな、と思い込んでいる。

そんな彼女の個性が最大限に生かされたのがこの新作だ。尾崎雅也監督が門脇麦をイメージに書いたオリジナルだそうで、だいたいそういうふれ込みはウソくさいものだが、今回に関してはなるほど麦クンにぴったりだ、と得心した。

 

「アメリ」を彷彿とさせる世界観とファッション

引っ込み思案な性格で、バイトしても適応できなかったり、ドジふんでクビとかでまたすぐニート生活に逆戻りの若いヒロイン。そんな娘の身を案じる父親役のマキタスポーツがいい味で、何とか、彼女の性格に合った勤め先はないものか、と探して来たのが、発売前の新作ゲームに不具合がないかを実際にプレイして探す“デバッカー”。黙々とゲームして、バグ探ししてればいい“天職”のようだったが、そこから対人関係に新たな展開が生まれてゆく…。

尾崎監督は、日本で大ヒットした映画『アメリ』(2001年)のヒロインみたいな、風変わりな女性のコメディー・タッチの作品を撮りたかったそうで、麦クンの起用でそれはすでに半分ぐらい成功したようなもの。一番気に入ったのは、ニート女性のイメージ=片付けられない症候群でファッションに興味がない、を崩していること。和製アメリにふさわしく、ちゃんと自分の世界観を服装にも反映している。そのガーリー・ファッションは門脇と同世代の若い女性の参考になるはず。オジサンも、よく分からんが、目を細めてしまうね。

もうひとつ気に入ったのが、ヒロインがふとしたことから参加したサバイバル・ゲームで、ドジを繰り返すなかでも、マグレで最強参加者の女性を倒してしまい、のちにそのカッコいいモデルタイプの美女(実際にモデルでもある女優、比留川游)と“同居”するほどの親友になるくだり。『マグレも実力のうち』か。関連して思い出したことわざは『犬も歩けば棒にあたる』だった。昔は、この“棒”が災いの意味だったが、現在は“福”の意味合いが強いという。

ニートしていないで、外に出て動き回れば“福に遭う”かも、と。さしずめ、今回は“麦も歩けば、愛にあたる?”かな。

 

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