「健康オタク」だった金正恩の祖父・金日成 ~その1~

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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の祖父、故・金日成主席は、1993年7月8日に急死した。享年81歳だった。健康には異常なほど神経を使っていたとされるだけに、突然の死についてはさまざまな憶測を呼んだ。北朝鮮研究者のなかには、故・金正日総書記(正恩の父)による毒殺説を唱える人もいたくらいだ。

健康への執着ぶりは次のような具合だった。例えば地方に視察に出る場合には、8両ほどの御用列車を使用していたが、2車両には旧ソ連と北朝鮮の医師団を従えていた。また別の1両には西側の先進医療機器を積み込んで、病院車両として仕立てるという念の入れようだった。

毎日、朝と夕方には主治医に健康状態をチェックさせ、常に万全の健康管理を行っていた。だが、実際の健康管理はかなりオカルトチックで、加えて暴君ぶりをまざまざと見せつけている。

金日成が長生きするために試した方法には、数多くのエピソードがある。

「その詳細な内容が『金日成の長寿健康法』というタイトルで出版されています。著者は1998年に脱北した北朝鮮の漢方医ソク・ヨンファ氏です。ソク氏は、平壌医科大学東医学科を卒業したあと、別名“金日成長寿研究所”と呼ばれる『基礎医学研究所』で研究員をしていました。当時、ソク氏が手掛けたのは、金日成が好んで食べたという特別製のリンゴで、『タンパク質リンゴ』と名付けています。このリンゴ、何と“生け贄”の養分を吸って育ったというとんでもない代物でした」(北朝鮮ウオッチャー)

その栽培方法は、まず冬に黄色の子犬をリンゴの木の根付近に埋める。春にはカエルを埋めて木の養分にし、栽培するという不思議な手法を用いていた。なぜ、子犬、しかも黄色なのか、カエルなのか、その理由は定かではないが、中国と朝鮮の伝統的な漢方医学にはこれらがいいとされていたことが根拠になっているらしい。

ソク氏は“過剰”な治療がかえって金日成の体の負担となり、死因の心臓発作につながった可能性もあると語ったという。永遠の主席でも永遠の命は手に入らなかったということだ。

その2へ続く)

 

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