「偉大なる将軍様」と呼ばれた故・金正日の横顔 ~その1~

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13年間、北朝鮮の金正日総書記のお抱え料理人として腕を振るった藤本健二氏は、著書『核と女を愛した将軍様』のなかで、金総書記の大好きな嗜好品を具体的に暴露している。酒はウイスキーなら『ジョニーウォーカー』、コニャックなら『XO』や『パラディッシュ』。たばこは『ロスマンズ・ロワイヤル』と、それらはまるで王様のようなラインアップだった。

また、東京の築地市場に高級マグロやウニを買い付けに行かせ、万景峰号や空輸で食卓に届けさせていた。金総書記は、ほとんど自国産製品を使用しなかった。

北朝鮮国内での個人の持つ力の大きさは、地位や職責によって決まるのではなく「金正日総書記とどれだけ親しいか」という関係によって決まる。これはまるで“王政”だ。

「金正日といえば『爆弾酒』があまりに有名で、北朝鮮の文化として根付いています。爆弾酒は、40度を越えるウイスキーやウオッカ、コニャックなどに日本のアサヒビールやフランスのワイン、中国の五星ビールなどを混ぜるものです。金正日は自らが主宰する幹部の飲み会で『幹部の証のひとつは酒量』と話し、盛んに酒を勧めました。この話が幹部のあいだで広まり、幹部らは『爆弾酒を大量に飲むことは、将軍様のように度胸の座った証しだ』と我先に爆弾酒をあおりました。こうして、北朝鮮の政府高官や上流階層が飲む爆弾酒は“度胸酒”と呼ばれるようになったのです」(北朝鮮ウオッチャー)

地方幹部も“ノンテ技術”と呼ばれる、トウモロコシ焼酎とビールを混ぜて飲む『小爆酒』を“将軍様の度胸酒”として飲んでいたが、実際の金総書記は大酒飲みではなく、健康に留意していた。

「金正日は、ワシントン条約で禁止されているサイの角や、熊の肝、麝香(じゃこう)など、高価で珍しい物を仕入れさせては愛飲していました。心筋梗塞や脳卒中を恐れていたためです。これら漢方薬を仕入れるために、専門の要員が北京を訪れており、息子の金正男が北京に買い付けに来たときには、たった1回で61万3000ドルも使っています」(同・ウオッチャー)

2011年当時の公式発表では、「視察に向かう列車のなかで、心筋梗塞を起こして12月17日朝に死亡した」とされている。「薬石効なく」だった。

その2へ続く)

 

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