今はあり得ない?北朝鮮で開催した「アメリカとの文化交流行事」

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人民大学習堂(平壌)(C)Shutterstock

2008年2月26日に、アメリカの名門オーケストラ『ニューヨーク・フィルハーモニック』(NYP)が北朝鮮の平壌で初めてコンサートを開いた。このコンサートのスポンサーは著名な日本人女性という意外な背景もあり、話題になった。

場所は平壌の東平壌大劇場で、指揮はNYPのロリン・マゼール音楽監督。米朝両国国歌のあと、ドボルザークの交響曲第9番『新世界より』やガーシュインの交響詩『パリのアメリカ人』など数曲が演奏され、最後には朝鮮民謡『アリラン』も奏でられた。

現在の米朝関係からは考えられないことだ。

約1500人収容の同劇場は満席で、文化芸術交流関係者や音楽学生、平壌の一般市民も招かれた。ただしチケット販売などは行われず、参加できたのは招待客だけだった。

マゼール監督は英語で演奏曲などを説明し、北朝鮮の女性司会者が通訳したが、時折、朝鮮語を使ってあいさつすると観客席からは笑みがこぼれた。アメリカ国歌の演奏の際には会場から拍手が沸き起こるなど、友好ムードが漂った。ただし、金正日総書記(当時)は姿を見せなかった。

 

米中国交正常化と同じ効果を期待したが…

公演費用の2000~3000万円を出したのは、イタリアのヴェネツィアに在住する富豪のチェスキーナ・永江洋子さんだった。(同女史は2015年1月10日に死去。享年82)

「1973年にアメリカのフィラデルフィア交響楽団による中国公演が、米中国交正常化のきっかけになったり、また『ピンポン外交』(日中卓球代表チームの相互訪問)が日中友好の先駆けとなったように、NYPの平壌公演も米朝雪解けが期待されましたが、結局そうはなりませんでした。北朝鮮の金総書記が公演を直接観覧しなかったことで、絶好のチャンスを逃したのです。この公演計画は、北朝鮮の核の無能力化と核開発プログラムの申告スケジュールが大枠で決まり、米朝関係の改善が進んだ2007年10月ごろに具体化していました。表面的には文化行事ですが、北朝鮮当局の要請をアメリカ国務省が受け入れた政治性が高いイベントだったのです」(北朝鮮ウオッチャー)

このとき、アメリカの詰めがもう一歩あったならば、世界の情勢は大きく変わっていたかもしれない。

 

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