謎の休業をしていたすみれのハリウッド・デビュー作「アメイジング・ジャーニー」

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』

クロックワークス配給/9月9日より新宿バルト9ほかにて全国公開
監督/スチュワート・ヘイゼルダイン
出演/サム・ワーシントン、すみれほか

石田純一と松原千明の娘として知られるすみれ。ハワイ育ちのせいか、英語もペラペラでアメリカナイズされているところが“個性”の長身美女として、堺正章の料理番組のアシスタントとか、競輪のCMの美人戦士役とかがステキで、僕は密かにファンなのだが、女優としての可能性はどうなのか、と常に気になる存在だった。

邦画は『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』(2016年)というヒューマン映画があったが、彼女の魅力を生かし切れたとは言い難かった。昨年後半は“ブログ炎上”などで体調を崩し、芸能活動休止とかも囁かれたが、この夏、ハンバーガーのキャンペーンで復活、それと同時に初のハリウッド出演作の日本公開と徐々にアピールし始めたので、『それは良かった、良かった』と僕は“親戚の伯父さん”のように目を細めてしまうね。甘いか。

そのハリウッド出演作がコレ。愛する妻と3人の子供に囲まれる男の幸せな日々が、末娘の誘拐によって一変する。やがて、山小屋で血に染まった娘のドレスが発見され、連続殺人犯の凶行とされるが、未解決のまま年月が過ぎる。深い悲しみから抜け出せない男の元に《あの小屋に来い》という奇妙な招待状が届き、彼は想像を越える出来事を体験する…というファンタジー仕立てのヒューマン映画なのだ。

主演は超ヒット作『アバター』(2009年)などのサム・ワーシントンだし、共演はオスカー女優のオクタヴィア・スペンサーだし、原作も全世界2000万部超のベストセラーだし、全米公開時にも4週連続ベストテン入り、という堂々たるもの。

 

すみれに最適だった「精霊」役

テーマとしては犯罪被害者の親族へのケア、克服への一助などだが、それを宗教的啓示、救済を絡めて、いかにもキリスト教圏の映画だなという印象もあるので、そのへんは宗教心薄き、僕も含めた日本人には親近感が伝わる、というほどではない。主人公の流した涙を集め、癒やしの水として埋葬した土にかけるとそこから花が咲く…などというアメージングな演出にはのけぞってしまう。

さて、すみれである。日本人女優などのハリウッド進出といっても実際はショボいのが多いが、この映画のすみれは違う。前出のオクタヴィア・スペンサーらとともに主人公を救おうとする“精霊”のひとり、サラユー役で、これがひいき目を割り引いても、透明感があって周りを和ませるパワーを感じさせ、少々の浮世離れ感も含めて、まさに彼女に適役!

「アメリカのテレビドラマ撮影(多分、人気シリーズ『ハワイ5-0』のことか)もしています。アクションもやっています」とすっかり元気を取り戻したすみれへ、すっかり“親戚の伯父さん気分”の僕は勝手にエールを送りたい。

 

【あわせて読みたい】

★2017/9/9公開
静寂感の強い侵略を受ける異質映画「散歩する侵略者」

★2017/9/9公開
役所広司と福山雅治の火花散る裁判映画「三度目の殺人」 

★2017/9/9公開
謎の休業をしていたすみれのハリウッド・デビュー作「アメイジング・ジャーニー」 

※ バス旅二代目の田中要次が主演する奇怪SFコメディー映画「蠱毒」

※ 戦後の沖縄で米軍の圧政と闘った男のドキュメンタリー映画