映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『フランス組曲』

確かにその一面はあるが、注目すべきは町の女性たちの描写だろう。占領下で身分の異なる女性たちが助け合ったり、最後まで夫に寄り添ったり、支配者に媚びを売ったり、さまざまな振る舞いが描かれるが、どれが正しいとはしない。戦時下でなりふり構わず必死に生きる女たちが眩しい。

その中で、現在のパツキン女優業界で成長度No.1のマーゴット・ロビー(『フォーカス』など)が、珍しく豊かなブロンドを封印して黒髪、すっぴん、小作人の娘を演じていて俄然、身を乗り出した。

ミシェル・ウィリアムズにガン飛ばし、ドイツ兵とアオカン。そのことを咎められると『男は同じ、小作人を追い出すようなフランス人よりマシ』と食ってかかるあたり、面目躍如であった。

クライマックス、ヒロインは反ナチ闘士の青年を逃がすため、車で検問を突破しようとするが…。このくだりは、具体的には書かないが、ちょっと甘いゾ。

亡き原作者がこの映画化を観たら何と言うか、少し怒るかもと、よけいな心配をしてしまうのだが、女優の魅力に免じて許そうとしているボクはそうとう甘ちゃんである。